2015年の初めに−−沖縄の闘いに学ぶ<この世界を再構成>すること

去年は8月と11月に沖縄辺野古の闘いに参加してきました。翁長新知事誕生に続き、全国で自民党議席を維持した衆議院選挙で沖縄は自民党を鮮やかに全敗させました。それは何より米軍新基地建設の凄まじい暴力に県民の人々が怒ったからです。


「本土」では「オール沖縄のような統一戦線を」と盛んに言われましたが、オール沖縄」とされるものは単なる選挙協力戦術ではない。政治・経済・文化の全領域で「今までとは違うもの」を求める動きが大きく絡み合って一つのビジョンを創っていく社会全体の再構成だと思います。英語で「憲法」を意味する“Constitution”は国家や社会の「構成」の意味でもあり、新たな社会の新たな原理を創ろうとしているのでしょう。

それは「米軍基地でなく観光産業などで自立経済は成り立つ」「今度こそこれ以上子どもや孫に基地を残さず、平和な沖縄にする」「日本政府の差別と暴力がひどすぎる、自己決定権を認めろ」「自立を強めよう」といった怒りと希望の積み重ねだと思います。そして戦後70年間の民衆の力強い基地反対闘争がそれを表現する現場となっています。「琉球新報」「沖縄タイムス」が闘いの現場と政府の不当性を毎日伝えています。


そうして政府がどれだけ「沖縄の声を聞きながら」「粛々と進める」と言っても、実態は凄まじい暴力政策=「植民地支配」であり許されないのだと「対立点」を明確にしてきた。辺野古海上や米軍基地ゲート前で「抗議行動」でなく「阻止闘争」を展開して押し返した。この結果が経済界の翁長氏支持や保革の協力に還流した。私たちが選挙結果から感じ取るべきはその動きの「総体」だと思います。


私たちが「沖縄に学べ」と言う時、まず私たち「本土」の政治・社会が沖縄の人々をそこまで追い込んでいるという加害者性と、私たちが政府にやめさせる責任があることを自覚・実行することが前提です。その上で学ぶべきは選挙結果以上に民衆運動の歴史と現在、そして「社会全体の再構成」であり、それこそが私たちに決定的に欠けているのではないでしょうか。


今の日本は人々に政治や社会への諦めと無関心が強いと言われ続け、それは選挙結果にも出ています。また経済状況が悪くなりすぎて、自分の身近な生活を守る事に汲々する/そのためにはどこで誰が犠牲になろうと気にしない、気にしたくないという心理傾向が強まっています。そこで「いま何が問題か、どうすればいいのか、やれるのは私たち一人ひとりだ」と明らかにするのが古今東西、民衆運動の目的です。


しかし絶対多数の安倍自民党政権は原発再稼働、秘密保護法、集団的自衛権、派遣法改悪、「アベノミクス」などを連発し、あまりに問題が大きいため私たちも野党も反対運動に追われてしまいます。それを見越して安倍の方が「この道しかない」と「ビジョン」を示し、「改憲は歴史的なチャレンジだ」と「社会全体の再構成」を宣言しています。


戦後最も政権に支配され癒着するマスメディアは、それを批評抜きで垂れ流し、諦めと無関心に覆われた社会に広がっています。でも実際は生活も何も良くなっていないのだから多くの人が冷めています。安倍自民党政権の戦略は、「熱狂」も「反発」も表に出てこない事をわかった上で自分たちの「ビジョン」だけをスルスル進めていくことであり、麻生太郎の「ナチスを見習っていつの間にか改憲を」発言の意味です。


権力との対立点を明確にし、体を張ってたたかうこと。今とは違う世界を求めて、全体的なビジョンを創り出すこと。これが出来ればどんなにひどい状況でも変えられます。
闘いについては、このかん自分と同じく関東から辺野古に行き、落差を埋めて基地を止めたいと考えた様々な人たちと一緒に「辺野古リレー〜辺野古のたたかいを全国へ」を9月に始めました。現地のたたかいをブログや街頭で伝え続け、防衛省連続抗議も続けてきました。https://henokorelay.wordpress.com/ 現地での個々の報告は「座り込み日記」に載っています。https://henokorelay.wordpress.com/sit_in_diary/
多くの人に辺野古現地の闘いと東京での闘いに参加することを呼びかけます。


そこで今日は年初に「社会の再構成」「どうすればいいのかのビジョン」を考えます。これは私の今年とその先の目標でもあります。
私はどの問題も専門家ではないので非常に大雑把だと思います。ただこうした議論を全運動的、全社会的に進めていく事が必要だと思います。もちろん個々のテーマで意見が違う人も多いと思いますが、こういう事は折り合う所で一緒にやれば良いと思います。ぜひ意見と議論をお願いします!

<この世界と日本列島の再構成案>

【国家体制と憲法
今の国民国家システムが大国による戦争と搾取を作り出している。世界中の国民国家を解体していき、世界連邦を目指していく。日本はまず安倍政権を倒し、自民党を解散させ、まず社民・共産を中心とした野党連合に移る。そして天皇制を廃止し、共和制にする。そして「日本国」を徐々に解体し、あらゆる地方の独立と国籍離脱・移住の自由を認める。そして政策は代議制の国会ではなく民衆自身による評議会が決めていく。日本国憲法天皇条項の1〜8条を廃止して、それ以外は維持。第9条は堅持。在日外国人と住民票を持たない人も投票権を得て、憲法の「国民」は「全ての民衆」に変える。そして国家解体時に、それにふさわしいものに作り変えていく。参考:「琉球共和社会憲法http://iwanami.co.jp/shiso/1088/kotoba.html


【軍隊と軍事産業
軍隊と軍事産業がある限り戦争は無くならない。世界中の武器・兵器と製造メーカーを永久に廃絶する。世界中の軍隊を廃止する。自衛隊防衛省も廃止する。まずは海外の自衛隊を即時撤収させ、「集団的自衛権」・新ガイドライン有事法制を廃止する。日米安保=日米軍事同盟を破棄する。沖縄の在日米軍も全面撤退させ、普天間基地も嘉手納基地も北部基地も即時閉鎖、辺野古新基地建設と高江ヘリパッド建設も即時撤回。日本と世界中の駐留米軍と基地も米国に撤退させる。そして米軍を廃止。そこで職を失った人の非軍事産業への再就職は保証する。


歴史認識、植民地支配】
世界中の被抑圧民族、少数民族の独立と権利を最大限に保証する。日本は天皇・全政治家・全官僚・全財界が侵略と植民地支配の責任を全て認め、中国・朝鮮・韓国・東南アジア各国に謝罪する。日本政府や企業への戦時損害賠償請求は全て認めて即座に支払う。植民地支配と侵略の事実を全て伝える教育と報道を義務付け、日本軍従軍慰安婦南京大虐殺を否定する民間の動きを絶対に作らせない。


【経済体制】
資本主義経済は貧困と搾取を拡大し続ける。資本主義の中に処方箋はないからこそ、ここまで酷くなった。資本主義経済は廃止し、富を公平に分配する社会主義共産主義へ移行する。まず金融取引とグローバル大企業の経済活動にあらゆる制限を課す。消費税は一旦廃止しそれらに重く課税する。TPPは廃止する。


【労働・雇用】
今の労働者派遣法と、労働法制の改悪を撤回する。不当解雇、サービス残業パワハラ・セクハラ、本人が望まない不安定雇用・長時間労働を全面禁止し、全ての労働者に公務員と同等の権利を保証する。


【福祉・社会保障
あらゆる福祉費用の切り下げを許さない。現在の「介護保険法」「障害者自立支援法」は、支援を市場化し、支援を切り下げる事で、高齢者・障がい者と支援労働者の双方が生きる権利を奪われている。そこを全面改定する。生活保護法の改悪も同様に撤回する。「働かなくても生きていける権利」も保証し、「全員へのベーシックインカム」を実現する。


【教育】
国家の教育への介入・支配を廃絶する。学校の事は学校の人々が全て決められるようにする。そして民衆自身による学びの場をあらゆる場所で作り出す。


原発・エネルギー】
世界中の原発核兵器を永久に廃絶する。日本の全原発の再稼働禁止・廃炉・新規建設禁止を決めるもんじゅ六ヶ所再処理工場、横須賀等の原子力空母も即座に廃止する。火力・水力・風力エネルギーにすぐに移行する。あらゆる国家と企業の原発輸出を全面禁止し、原子力産業を解体する。


【福島事故と被害者救済】
日本政府と東電は福島の住民=被害者を徹底的に分断する事で責任と賠償逃れをしている。まず福島と全国での「復興/放射能安全キャンペーン」を全て中止し、危険性を認め、放射線量と事故の状況の全ての一次情報を毎日明らかにさせる。その上で福島から避難する人にも留まる人にも、「警戒区域」内/外のどこに住んでいて今どこにいても、どんな仕事をしている人にも、全ての人のあらゆる個別要求に応えさせる。住民の避難と避難先での生活保証、全被害者への即時・全額賠償、原発労働者の公務員同等の権利保障を基本政策にする。沖縄と同様に原子力被害者の自己決定権を認める。


【人権と弾圧】
あらゆるマイノリティの人権を保証する。虐待の横行する代用監獄、精神病院、入管外国人収容所を廃止する。秘密保護法、住基ネット、テロ資金法、共謀罪などあらゆる弾圧法を廃止・廃案にする。死刑制度を廃止する。公安警察・検察を解体する。あらゆる野宿者排除を根絶する。野宿者を排除し311の被害者を切り捨てる東京五輪は中止・返上する。


※随時、項目の追加や内容の修正をしていきます。


★★では、どうやってこれらを実現していくのか。すでに集団的自衛権に反対する国会前の「総がかり」行動で多くの個人・市民運動労働組合が連合しています。それは希望です。私はさらに普段から誰もが職場で労働組合を作り権利を主張する、そのためにお互いを支え合う事が基本だと思います。その労組を主体に自主営業や協同組合の職場を増やしていく。そしてその職場、学校、地域で社会問題を学びデモや集会に行くサークルを作る事です。
同時に、その労組やサークルの全てと、個別課題に取り組む全ての市民運動が国会前と街頭の両方を埋め尽くして占拠する。NY・台湾・香港のように泊まり込み、差し入れ、自炊がそこでの生活を支えていく。そこは政府を監視・抗議しながら政治と社会を議論する場であり、いずれそこで決めた事こそが実現される人民「国会」にするのです。

安倍政権は2017年までの憲法改悪=<社会の再構成>完成を狙っています。今年こそ私たち自身による<社会の再構成>を進めていきましょう!