フリートーク:世界に向かってハローと手を振るために:2、最近の恐怖感について

とにかく、今のこの事態をまとめて考えなきゃいけない。
おーげさなタイトルすいません、全然書きかけだけどとりあえず載せます。架空の人格ナインとの対談。


フリートーク:世界に向かってハローと手を振るために:2、
この世の果てから歴史を取り戻せ
(「反中国」「反朝鮮」というファシズムを変えるために)


“「[労働力として]売れる/売れないの分割は、殺す/殺されるの分割と地続きである」。……さらに言えば、「売れないこと」(への予感)は、路上や戦場で「殺される」ことだけでなく、路上や戦場で「殺す」こととも地続きである。
「売れない」者が路上で「殺す」というさいに、昨年秋葉原でこれを実行に移した派遣労働者の「誰でもいいから殺したかった」という発話と、今年日本国家によって両親を退去させられた14歳のフィリピン国籍の少女が通う中学校の門前で、「犯罪外国人を日本から叩き出せ」と叫んだデモ隊の情動が、ともに見据えられねばならない。
また「殺す」ことには、自らを標的にすることも含まれる。わたしたちは今、「日本国内の年間自殺者3万人超」という状況と、イラクやインド洋から帰還した自衛隊員の自殺率の高さを、ひと続きのものとして受けとめねばならない。“
(『殺すこと/殺されることへの感度 ――二〇〇九年からみる日本社会の行方』石原俊、東信堂より)

“……中国人が千何百万人も殺されたというような事実を、一般の日本人は噂ていどに、抽象的にしか知らず、中国侵略とは具体的に何であったかも気づかず……
中国は「日本軍国主義が復活した」として、極度に警戒している。しかし日本人のなかには、なぜこれほど中国が神経質なのか理解できない人も多い。中国人が日本の軍国主義復活を警戒する歴史的・心理的背景には、戦争中の日本軍の姿が黒々と横たわっている。中国人にとっては、「日本軍国主義」は抽象的な言葉や数字ではなく、自分の肉親が殺され、家を焼かれた具体的風景なのだ“(本多勝一『中国の旅』朝日文庫


0:「ふざけんじゃねぇ、ふざけんじゃねぇよ」


ナイン:久しぶり。何というか……ものすごい状況になってきたよな。

園良太:ああ……何と言うか、本当に何から話し始めれば良いのか、話し合いたい事がありすぎる。11月に沖縄から東京戻ってきてから、2〜3回ほど絶望的な気持ちになったよ。9月から日本中の政治家、マスコミ、市民が一体になった凄まじい中国バッシングと、11月23日からの北朝鮮バッシング、そして両事件を貫く日本の暴走する軍事拡大に。

ナイン:そうだな、まずは一番大事なことから言おう。第二次世界大戦での中国人の死者は1000万人以上と言われている。日本人が殺したんだよ。もう一度言う。日本人が中国を侵略し、植民地支配し、大虐殺したんだよ。もちろんこれは朝鮮に対してもそうで、19世紀から植民地支配と数え切れない弾圧、強制労働、虐殺、強制連行をやってきた。

今の日本人は「中国に侵略される」とか「中国軍もチベットウイグルに侵略してるじゃないか」などと言っている。
それを、日本軍に殺され、レイプされ、村を焼かれ、金品を全部奪われ、ゴミのように強制労働させられ、親兄弟姉妹もろとも皆殺しにさせられた当時の人々が今聞いたらどう思う?「ふざけんな!!」って話じゃないか。「お前らがどのツラ下げて言えるんだ」って話じゃないか。ぼくらはあまりにも厚顔無恥な物言いをしながら生きている。死者は常に自分たちの在り方を問うているのであり、絶対にそこから出発しなきゃいけないんだよ。

園良太:僕はそれを考えながらTV・新聞・ネットを見ていると、怒りで気が狂いそうになってくる。当時生まれていなかったから責任が無いなんてことはありえないし、日本政府も全くその責任を果たしていない。それを変えられないままの俺の無知や無感覚にも責任がある。ふざけんじゃねぇ、ふざけんじゃねぇよ。今何が起きていて、何が問題で、どうしていくべきなのか、色んな角度から話し合おう。


1:「俺、殺されるかもしれないな」という恐怖感

ナイン:良太は今月右翼の「反中国」デモを見たり反APECデモに行ったりしたんだよね? まずは自分の感じた事から話し始めた方が良いと思うよ。現場の事を教えてよ。

園良太:11月6日の「反中国」デモと集会は本当に大規模だった。日比谷野音から溢れる人に、家族連れや若者の多さ。田母神が堂々と講演して、誰もが「大東亜戦争の精神をもう一度!」と叫ぶ右翼集会なのに、一般の人がたくさん来てしまう。デモ中も東京駅前でずーっと見てたんだけど、街の反応の良さと次から次へと通る隊列に絶望的な気持ちになったよ。そこで自分が何もしないことへの歯がゆさもあったしね。

翌週もPC作業のために昼間から家にいることが多くて、朝から晩までyoutubeの「尖閣映像」を流し続けるマスコミを見て、いかにこの国が中国バッシング一色になっているかを痛感して、また絶望した。家にいると精神的にマズイからなるべく外に出ようと思いながら、週末11月13日&14日の「反APEC」デモに行ったよ。

でも、さ。史上空前の90億円の警備費、全国から動員した2万人の警察官による大警備、挙句の果てに自衛隊まで待機する(憲法違反だろ)。自衛隊になんて勝てる訳ないじゃん!(苦笑)そして横浜に向かう電車の中でも警官が堂々と歩いている訳よ、もちろんこっちは自分一人。なんかさ、その車内の前後から、自分が右翼と警察に囲まれながら生きているような気持ちになって心底「恐怖」したんだよね。
「このまま反戦運動や反差別運動をしていたら、自分は普通にボコボコ殴られるし、ヘタしたら殺されるかもしれないな」と初めて思った。何だろ、戦場カメラマンが戦地に向かう時の覚悟とは多分違う、じわじわと真綿で自分の言動を締めあげられ孤立していくような恐怖感、つまりファシズムの本当の始まりだ。

きっと戦前の左翼活動家や知識人の「転向」もこの恐怖感から起きたんだと思ったよ。いくら右翼的な人々が「○○が攻めてくる!」と叫んでいても、このリアルな恐怖感は持っていないはずだよ。警察も右翼も、うちらに対して身近でリアルな暴力を振るうのだから。僕も不当逮捕を経験してる訳だしさ。

ナイン:キッツい話だな…きっと引く人も多いだろうな。でも今は少し元気そうじゃん。

園良太:「反APEC」デモでかなりやりたい放題やれて、元気が出たからさ。仲間に会ったり行動したりしていないとひたすら沈んでいくだけだよ。そうして運動から離れて行った人も今までたくさんいると思う。

ナイン:君のmixiやブログを見てても、あまりに性急に反戦声明を出そうとしているように見える時がある。そういう焦りから出ているのかね?

園良太:後でまた話すけど、あまりに事態が早いからこちらも条件反射的になっている面は多少あるだろう。飲み込まれてしまい、一切反対意見が無くなるような状況なんだよ、今は。これから「今何が起きているのか」を考えて行こう(続く)

(これから)

2:根本原因――「歴史」を消し去った社会(植民地支配と戦後とか)

3:デマとカルトの社会、そしてファシズム(ネット・マスコミ・メディア・youtube・田母神・在特会幸福実現党?)

4:限界を超えた軍事拡大(軍事演習、自衛隊配備、武器輸出三原則、集団的自衛権)――政権交代→保守2大政党になった最悪さが出ている

5:沖縄、オキナワ、その変化と矛盾と希望

6:一億総相互不信、死刑制度、貧困の極限

7:どう変えていけるか