今日の「麻生国賠」参加感謝!次回は10月4日14時半/原告・フリーター労組のしゃべったこと


たくさんの人が来てくれた、フリーター労組の仲間がたくさんいた。嬉しかった、昔を思い出すようで、そして「今」もそれがあることを。

★賛同を今も大募集中です、↓からお願いします。
http://state-compensation.freeter-union.org/info/181/

本日の「麻生邸リアリティツアー事件国賠訴訟」の口頭弁論に参加されたみなさま、暑い中本当にありがとうございました!

炎天下の昼休み地裁前情宣には、フリーター労組組合員を中心とする20名強の仲間がビラを配りに参加してくれました。「なくせ!公安条例」のバナーを掲げ、原告や支援者によるマイクアピールも熱が入っていました。

法廷でのフリーター労組共同代表・田野新一さんの陳述は、リアリティツアーが行われた時代状況を捉え返し、労働運動つぶしに屈しないという国賠勝利への堂々とした決意表明でもありました。

報告集会では小竹弁護士から東京都の陳述書の内容解説、田野さんからの陳述を終えての感想(「過去の悔しさ―仲間だった当該が持って行かれたことや、労組への不当な捜索など―を忘却しない国賠の闘い」という国賠の意義を語っていたのが印象的)、バレンタイン国賠(警察に重傷を負わされた事件)と大河原国賠(警察裏金問題内部告発者への口封じ弾圧への反撃)からのアピールをいただきました。

つづく学習会では、河内国賠の支援者と原告から国賠闘争について、小竹弁護士からは公安条例の違憲性について、過去の主な判例を引きながら解説いただきました。

そして恒例の日比谷公園交流会をもち、感想や激励、情報交換で賑やかに過ごしました。

さて、本日の警備公安警察の活動についても報告します。情宣前の裁判所内に、私服警察5人。情宣を始めたところ、裁判所側歩道13人程度、公安委員会側歩道15人程度。721法廷に顔を見たことがある気がする男が一人、白いポロシャツ、ベージュのチノパン、ショルダーバック、眼鏡の男です。支援集会の途中で弁護士会館前をパトロールしたところ、上記法廷で傍聴していた男が法務省方向から歩いてきました。首から、霞ヶ関で各種公務員が首からぶら下げているIDをその男も装備していました。国賠闘争への捜査活動攻撃を許さないぞ! みんなで跳ね除けていきましょう。

次回期日は10月4日(月)14時半から721法廷にて行われます。引き続き国賠勝利に向けてがんばっていきましょう!

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http://state-compensation.freeter-union.org/unctg/456/
「麻生邸リアリティツアー国家賠償請求訴訟」原告 フリーター全般労働組合 陳述

2008年10月の「麻生邸リアリティツアー事件」に関連して、11月5日にフリーター全般労働組合事務所に対して行われた捜索差押は不当であり、謝罪と賠償金の支払いを求める。

私たちは一人でも誰でも入れる労働組合である。非正規雇用労働者、および失業者を中心に、不安定な労働や生を強いられる階層に属する人々が、互いに助け合いながら企業や社会全体に状況の改善を要求している。組合員の労働問題を解決するために、数十件の雇用先との団体交渉を行うことが日常活動である。その一方で、自らの状況を社会に訴えるためにトークイベントやデモンストレーションも行っている。

事件当時の日本社会は、私たちの組合員が直面する問題にようやく関心を寄せ始めていた。それまで「自己責任」という言葉で個人の選択の問題に還元されてきた不安定階層の問題は、「氷河期世代」「ワーキングプア」あるいは「貧困」という言葉の登場によって、ようやく社会が取り組み解決すべき問題であると自覚されはじめていた。貧困をテーマとしたいくつもの報道番組が企画され、関連書籍が多数出版され、雑誌の企画が相次いだ。私たちの組合にも、「貧困の現実を取材し社会に明らかにしたい」という趣旨のテレビ局、新聞社からの問い合わせがいくつも舞い込んでいた。

だが、このように社会が私たちを救済の対象としてみなし、マスメディアが焦点を置けば置くほど、私たちが直面する問題の核心的なリアリティは喪われていった。この社会には金融資産5億円以上の超富裕層が5万世帯、1億円以上の富裕層が90万世帯存在すると言う。そしてこれらの階層は互いに姻戚関係を結びながら閨閥をなしている。私たちがようやく月収14、5万の仕事にありついて日々の暮らしや将来への備えを立てようとする傍らに、私たちの労働や生を不安定化することで蓄積した余りある金融資産の運用先探しに血道をあげる階層が存在しているのである。

だが、マスメディアは絶対にここを論点にしない。3畳風呂なしのアパートに住み、一日3食を素麺ですごすフリーターの暮らしを取材し富裕層のもとに届けるだけなのである。この社会が絶望的なまでの「格差社会」であること、そしてこの格差から利益を得る人々がなんら責任を果たそうとしないことについては終始曖昧にされたのだ。

ならば私たち自身がそのリアリティを獲得しなおすしかない。私たちはただ不安定な生を強いられるだけの存在ではない。自らを取り巻く状況を知り、新しい社会を構想する主体でもあるからだ。

そのような状況において麻生太郎氏が首相に就任した。彼は45年間に渡り1着30万円のスーツを年間10着も仕立てると言う。オリンピック級の腕前を誇るクレー射撃では、1日に大卒初任給の2倍もの弾を撃って練習したのだと言う。そして、敷地だけで62億円とも言われる豪邸に住む。連夜高級ホテルのバーに通うなど、彼の私たちとかけ離れた豪勢な暮らしが次第に明らかにされていたころ、彼は貧困問題の実態把握と称した政治的パフォーマンスを始めた。街頭でハローワークで貧困について人々の声を聞くというのである。

だが彼は何を知ることができるのだろうか。日々の生活すらチャレンジを求められる私たちについて、生まれてこの方、一度もチャレンジなどしたことのない彼が何を知ることができると言うのか。何よりもこの社会の実態を知る必要があるのは私たちだ。そのため「麻生邸リアリティツアー」には複数の組合員が参加していた。だがそれだけで組合員が不当逮捕され、組合業務に不可欠で組合員の個人情報が満載のパソコンが押収されてしまったのだ。こんな不当な行為が許される筈が無い。

そもそも本件の被疑事実である「公安条例違反」「公務執行妨害」自体が嫌疑を欠き、事実とされた事案は公安警察によってしかけられたものである。そのことにくわえ、組合は「リアリティツアー」の単独の主催者でなかったことも重要な事実である。「ツアー」は組合外の諸個人も多数含まれる有志によって企画され、特別の組織的背景をもたなかった。したがって強行された捜索差押は、任意の諸個人によるゆるやかな集まりに対して、「組織的な背景」をでっちあげようとした警察・検察側の違法な職権濫用にほかならない。

また被疑者3名の居宅と組合事務所への捜索が勾留期限の前々日になって行われたにもかかわらず、被疑者全員がその翌日に処分保留で釈放された。これは勾留延長のための捜査機関のアリバイづくりでさえなく、被疑者・周囲に対する心理的抑圧・政治的圧力と、捜査に関係のない個人情報の盗奪であり、絶対に許されることではない。

不当捜索では組合のパソコンが押収され、日常業務に大きな支障が出た。立ち会った組合員は、持って行くならせめて事件に関係するものだけにしろ、チラシやパソコンにあるデータは全てコピーする、パソコンは組合業務に支障が出ると主張したが、根拠を全く示さないまま関係のないパソコンまでを全て持って行ったのだ。そうして150人近くの組合員の個人情報と組合員の仕事のデータが奪われた。不当捜索は約2時間にも及び、捜査員も多すぎてただ威圧感を与えるためだけにいたとしか考えられない。

その被害は甚大だ。まずパソコンによる日常作業が出来なくなり、団体交渉申し入れ書や反論書、労働委員会への提出書面が作れず、過去の書面データを参照することもできなくなった。個人情報を警察に奪われ、自分も監視対象になるかもしれないという不安を多くの組合員に与えた。そのため組合は緊急で組合員に対する説明会を開かざるをえなくなかった。個人情報が押収されることは、組合と個々の組合員の間の信頼関係にヒビを入れることを企図した卑劣な弾圧である。またフリーター全般労働組合の事務所に同居している他の様々な労働組合にも大きな不安を与えた。

今も警察は当時までの組合員の個人情報や交渉相手の情報を不当にも保持したままだ。これらは全て組合つぶしであり、憲法で保障された組合活動に対する政治的な弾圧である。私たちはこの弾圧をはね返し、組合員の生存を守るために、不当捜索に対する謝罪と賠償を求める。そして国賠訴訟の勝利を勝ち取る決意である。