【転載】小沢一郎の目指す「もう一つの帝国」

mixiでマイミク&運動仲間の日記より、とても参考になったので転載します。

★「小沢一郎の目指す『もう一つの帝国』」

小沢氏 通常国会参政権法案
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1048477&media_id=4

外国人地方参政権?大いに結構だね。「同化して民族アイデンティティーを放棄しなければこの国に住むな」なんて、どんだけの島国根性なのよw

民主党内で意思統一できたなら、これは成立するでしょう。蒙昧な右派だって少なくない民主党でコレをやり切れるというのだから、小沢の政治手腕というものは本当に大したモンだと思う。敵ながらw

小沢的には、歴代自民党政権の口先だけの「戦争・植民地主義への謝罪」を超えて、歴史的過程を踏まえた極めて具体的な「戦後処理」として、この外国人参政権が考えられている。その先には、アメリカ追随一辺倒から脱した「東アジア共同体」構想を見据えた、日本の「人権大国化」という思惑もあるのも確かだろう。

この外国人参政権の他に、選択性夫婦別姓制度の導入、安倍政権時に成立した日の丸・君が代の強制に反対する教員の排除を目的とした「教員免許更新制」の撤廃、高校授業料の無償化、あるいはインド洋沖での自衛隊による給油活動への停止、(賛成はしないけど)「靖国に代わる国立戦没者追悼施設の建設」etc

死刑廃止議連に参加していた千葉景子の法相就任も、小沢の強い推挙があったことが伝えられているけど、おそらく「小沢構想」では死刑制度の廃止すら念頭にあるものと思う。ただ(鳩山政権全体に言えることだが)「世論」との全面衝突を避けて、まだ打ち出さないというところではないかな。

普天間問題」だって、おそらく内閣では「少なくとも辺野古での新基地建設はナシ」という点では固まっているだろう。ただ、アメリカとの関係で落とし所を見出せないだけである。「辺野古での建設」については、ワタクシは「やれない」と楽観しています。ただ、「辺野古でも作れず、普天間は動かず」という状態がしばらく続きそうな点について、どのように運動的にアプローチするべきか、考えなければなりませんが。。。

民主党政権を「自民党と変らないor同類」的な批判は、その「同類」的な部分を具体的に批判する以外は、本質論としては誤りでしょう。少なくとも、小沢は歴代自民党政権が形成してきた「アメリカ追随・アジア軽視」政策による国の構造を一変させようとしている。

その小沢路線とは、まず欧米とりわけEU諸国基準から大きく立ち遅れた「人権」面を整備して、「東アジア共同体」構想をリードする。そのイメージは、死刑を廃止しなければ加入できないEU共同体だろう。

これは、中国の民主化を穏便に促す意味でも有効だろう。先のウイグルの反乱では、漢族もまた暴徒化して「中国のユーゴ化」の兆候も現れている。中国大陸の民族紛争のるつぼ化を回避しつつ、民主化へソフトランディングさせるためには、まず日本を「お前に言われたくない」とツッコミを入れることが出来ないような「人権大国」にして、中国を含めた「人権後進地帯」アジア全体をリードする。

そのためには、かつての侵略の後始末も、それなりに推し進める。外国人参政権もそうだし、靖国神社なんてアジアにとっての怨嗟の的である「旧帝国の遺物」も無用の長物。そもそも、極右的な復古主義なんて、もはやこのグローバル化の時代になんらの「国益」も見出さない。ましてやアメリカが没落したこの時代に、旧来の「アメリカ追随・アジア軽視」政策でやっていけるわけもない。

この小沢路線は、資本主義体制と天皇制を維持・前提としつつ、このグローバル化の時代に日本が生き残るにはどうすればいいのか、という点ではヒジョーに合理的だといわざるを得ない。もしワタクシがアチラ側の人間だったら、全面的に支持するだろう。

天皇制と資本主義を支持して「国益」を重視するはずの右派が小沢を支持しない現象はまったく理解できんw どんだけ蒙昧なんだよww)

しっかし、、、だ。この小沢路線の究極的目標は、やはり憲法改正とりわけ自衛隊海外派兵の常態化だ。小沢が、民主党内では旧社会党グループや連合と強い信頼関係を保ち、そして社民党との連立に重きを置く根拠はここにあるだろう。すなわち、国会では極小勢力になったとは言え、依然として一大「護憲勢力」である社会民主主義派を完全に取り込む。そのためには、民主党自身が「社会民主主義的政策」を一定行う、ということだ。

さあ、このある意味完璧な小沢の日本の「普通の国」=EU型国家化構想をどう考え、社会運動の立場から斬り込んでいくか。現在のところ、極右が「日本が解体されるぅ」と国内の最大の抵抗勢力になっているが、世論的には、当分は多数を形成することは出来ないだろう(その暴力的突出には十分な警戒が必要だけど)。もっとも、EU諸国でも「祖国のEU化は伝統を破壊する」などと、押し並べて極右が伸張しているので、日本もまた極右が一つの政治勢力となる可能性は大きいだろうな。

また、真のそして最大の抵抗勢力はやはりアメリカ様だろうけど、ここにどこまで立ち向かえるかは未知数だ。やはり、この「アメリカの壁」にぶつかって、挫折というセンも大いにあるだろうけれど。

しかし、やはり指摘しなければいけないのは、所詮EUもまた「一つの帝国」であり、それをモデルにする小沢構想もまた「もう一つの帝国」構想だということだ。

それは「国連重視」と称してそして各国の足並みが揃えば、ユーゴでやったような「人権のための戦争」をやる「帝国」であり、ソマリアやアフガンに兵士を送っているように地球の裏側までも「秩序のために」と軍事力を行使する「世界警察」だということだ。その実権をアメリカ一国だけに任せるわけにはいかない、というのがEUアメリカの確執のすべてといっていいだろう。

それはもちろん多国籍企業の安定したグローバルな展開のための「環境整備活動」でしかない。多国籍企業のために、世界のどこの国においても労働条件や環境汚染などの規制は緩和する。環境破壊が問題となるなら、それは企業の営利活動の支障にならないように「帝国」が小国をコントロールする。そういう、ますます民主主義を形式化させ、形骸化させる「帝国」への道が、小沢路線なのだろうと思っている。

その民衆軽視は、やはり「天皇の政治利用問題」に現れているよね。「天皇外交」なんて、全部政治利用に決まっているけど、小沢的にはやはり中国・韓国との外交に重きを置いているのでしょう。それはまた、小沢・鳩山が公言している「天皇の元首化」の地ならしであることも、十分に注意しなければならない。

しかし、「かつての植民地帝国の大王の息子」と「一党独裁政権のナンバー2」が会うことで「日中友好の新時代」の演出ができるなんて発想が、やはり侵略されたアジアの人々の怒りと憎しみをナメているというものだろう。こういう民草の怒りから、「もう一つの帝国」の構想は綻んでいくのではないかな。

また、EU型「東アジア共同体」が実現するならば、そこから孤立した北朝鮮のような国に一致して攻め込む、そのために日本も軍を送り込み、世界のどこの国もそれを非難しない、ということにもなりうるだろう。

結論として、小沢路線・構想の行き着く先は一定のリベラル政策と改憲がセットになった「EU型軍事大国」と言っていいでしょう。まあ、その政策を利用できるものは利用しつつ、それを改憲反対・軍事大国化反対の地歩にしていく柔軟なやり方をしていく必要を思う今日この頃なのでした。

そのスローガンは、ヨーロッパ・中南米反グローバリズムの社会運動によって発信された「もう一つの世界は可能だ」に倣って、反軍事・反独裁・反ネオリベ・人権と民主主義の実現する「もう一つのアジアは可能だ」ということになるのかなぁ?


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