【来年に向けて】反原発運動の一大転換を――再稼働反対への集中から、3.11の事態と正面から向き合い、被害者とつながり、「脱被ばく」へ

“水紋は発生源が深ければ深いほど広い。今回の選挙結果は質、量ともに脱原発世論の現在を示した。「いや脱原発志向は強い」という反論がある。問題は志向の質だ。フクシマの悲惨や核廃棄物を考えれば、答えは自明だったはずだ。その深さをどこまで共有できていたのか。数より原点を確認したい”(東京新聞12/20田原牧氏)

僕はこのかん「ふくしま集団疎開裁判」「福島に来たIAEAへの現地抗議行動」「大阪反がれき・反原発への大弾圧救援」に関わってきました。どれも再稼働反対運動ほど大きくメジャーじゃありません。でも関わるほどあまりに巨大な事態だと思うし、個々のつながりも見えてきた。その結果、来年こそ、あまりに遅れたから本当に来年こそ反原発運動は「脱被ばく」を中心としたテーマの一大転換をしなければいけないと思います。つまり特に東京が陥りがちな「政治・政策運動」としての「再稼働反対」から、3.11で起きたあまりに巨大で困難な事態と私たちが正面から向き合い、権力・資本に変えさせていく運動に深化させる事です。

→「311後の福島の事態」は政府が全力で隠し、福島は封じ込められ、他地域は忘れ去って来た。その問題化、焦点化は「脱原発世論」の広がりに比べ低迷しており、東京の運動は「再稼働反対等の政策運動」に偏りがちだったと思います。

「3.11」の生み出す巨大すぎる問題とは、
1:20キロ圏内の住民を中心に、土地・住宅・仕事が完全に奪われ、生き物たちの生態系も破壊された。
2:福島中通りの子どもと浜通り原発労働者を中心とした、莫大な健康被害が出る。
3:膨大な放射性廃棄物が出続ける。
4:誰が膨大な収束作業を担って行くのか。
→この全てに対し、・事実は徹底的に隠され、・被害者は置き去りに捨て去られ、・対応は政府と大企業が「国策」の巨大ビジネスにすり替えて、・反対運動は弾圧されてきた(今後ますますそうなるでしょう)。


1:事実を徹底的に隠す――福島と健康被害とIAEA
 20キロ圏内と原発の酷い状況、収束作業を取材させない。子どもと原発労働者の健康と権利、強制区域避難者や自主避難者の生活、全て置き去りだ。昨年後半から「帰還・除染・復興」の大キャンペーン。県と市町村・教育・医療・メディアを中央政府が完全に掌握、締め付け。福島で行動する人は少数化し、「福島の女たち」の皆さんなどあまりにも大変だ。
→「エートス」進出と極めつけのIAEA(国際原子力機関、世界の核・原発推進と被曝隠しの頂点)の福島事務所開設。来年以降本格化する健康被害を全力で覆い隠し、福島県と具体的に次々政策を決めて行く段階に入った。健康被害心理的問題にすり替え、国際的権威を利用。チェルノブイリと同じ手法。当時以上の大事故であり、大惨事になる。

2:廃炉作業、除染活動、放射性廃棄物の運搬と処分場建設の巨大ビジネス化――「惨事便乗型資本主義」
 福島から人を逃がさない理由は国の責任と賠償逃れ。同時に除染や廃炉活動等が巨大ビジネスになっているから。だから除染が無謀と分かっててもやる。昨年からゼネコンが大挙福島入り、作業請負・講習活動でボロもうけ。福島原発収束作業もゼネコンや手配業者がボロもうけ。さらに全国に拡散するがれきなどの放射性廃棄物と処分場建設も運送会社や建設会社がぼろもうけ。監督する省庁も同じ。宮城・岩手でも被災した農場や漁場を大企業に解放しようと邁進、それが「復興特区」「復興庁」の正体。がれき受入れ表明しただけで自治体に数百億円の予算。「環境省の申し入れへの対応は特にひどい。自分たちがヤバい事してると自覚してるからでは」(知人の意見)。
→資本主義の危機の中で、大災害を新たな金儲けに変える「惨事便乗型資本主義」(by米国のナオミ・クライン)。アフガン・イラク戦争、ハイチ・インドネシアの大地震、ハリケーン・カトリ―ナでも行われた)

3:そのための大阪がれき大弾圧、処分場押しつけ、福島被害者弾圧
 関西で関西電力抗議や放射性がれき反対への弾圧が凄すぎる。11人逮捕、6人起訴。橋下体制の完成により、大阪の警察・検察が暴走している。そしてがれきが巨大利権だから。都市で抽象的に「原発反対」とデモしている時とはわけが違う(利害関係がないから)。橋下や関西財界やヤクザの影響。矢板、高萩、鮫川の廃棄物の最終処分場建設も超強引で、いつ弾圧するか分からない。そして原発労働者を福島の被害者や全国の日雇い労働者に担わせ、東電は労働組合に加入する原発労働者ほど潰そうとする。避難民の棄民化や健康被害放射性廃棄物や被曝労働の現実を表に出させようとする動きには、弾圧が一番の手だ。がれき等の押しつけと弾圧はもはや「国策」なのだ。
→今後、福島で健康被害当事者や家族が、水俣の時のように・それ以上に血と涙と怒りの賠償要求の直接行動を起こすだろう。その時こそ大弾圧するはずだ。

4:最大の被害者の運動こそを中心に!
4つの巨大すぎる問題が生み出す「今の被害者」がここにいる。強制避難区域の避難者。全ての自主避難者と、今後避難すべき子供や親(特に福島県中通りの膨大な子どもと親)。処分場建設や放射性がれきを押し付けられる地域の住民。そして福島第1原発の収束作業員と全ての原発労働者。そしてそれらに反対する運動で弾圧・不当逮捕された人だ。
それぞれの違いを乗り越えて連帯する事、ともに暴力に反対し、現実を変えていくこと!