【シェア歓迎:総選挙声明】「直接行動」「左翼」「3.11反被ばく」を取り戻そう!

総選挙の結果が出始め、安倍与党の大勝が見えてきた。不意打ち身勝手解散が理由でり、絶対に許されない。選挙中は改憲を隠しながら、開票と同時に「改憲勢力勝利」「改憲論議が促進」と騒ぐ自民やメディアも許されない。台風直撃なら延期もアリのはずだ。その問題はすでに十分言われているので、私たちの側に何が足りず、どうしていくかを書きたい。
 
 まず、あまりに突然の大変な選挙を闘った方々は本当にお疲れ様でした。まだ結果のでない大阪9区の服部さんの当選を望みます。また皆さんへ、大きく絶望する必要はありません。安倍は森友・加計疑惑の最大の危機を脱しただけで、自公は現状を維持しただけだ。疑惑追及や戦争反対が簡単に終わる訳はない。

僕は大阪避難後の今年、「3.11関東からの避難者たち」と「安倍政権を倒す梅田解放区」の2つに取り組んできた。それは足りないものを埋めたいと思ったからだ。でも今、なかなか盛り上がらずに苦しんでいる。だから皆さんと再共有をして、共に動きたい。

①「戦争法廃止の野党共闘運動」で「失われたもの」もしっかり総括すること。
 
私たちは「野党共闘」が至上命題化し、その長短を振り返る作業をあまりに怠ってはいないだろうか。それが一番大事だ。「野党共闘」は、2013〜14年に安倍政権の改憲に対抗するため、長年運動現場で別れてきた社民党系と共産党系に、一緒に憲法集会や市民集会をやらせようと市民が動き始めたことが始まりだ。それは達成された。

14年戦争法の閣議決定以降、民主党も巻き込んで法案阻止に動き出した。民主には改憲派議員も多いが、そうでなければ止められない、といういわば「ギリギリの後退戦」だ。
かつては社会党だけで国会の三分の一を占めていたのだから。

15年強行採決以降は、翌夏の参院選で自民を負かし法案を阻止する「国民連合政府」を共産党が提唱した。野党連合が権力を奪取しようという宣言だ。採決の瞬間から、国会前の若者たちも「選挙に行こうよ」とコールし出した。だが民主党共産党と一緒の政権は嫌がったため、一段下げて「戦争法廃止の一点で選挙協力をする」事になった。

 参院選でも自民は勝利したが、一定成果を挙げたため、路線は継続した。「来る衆院選に備えて」が合言葉になった。だから自民はそれを壊すために、民進の蓮般や山尾しおりを次々攻撃した。そして突然の解散総選挙という禁じ手で、前原に民進党を解党させた。

 この禁じ手解散はいわゆる「不正選挙」並みで、海外のように市民の抗議や暴動で無効にされて当然だと思う。でなければ与党の勝利は必然なのだ。なので梅田解放区は「身勝手解散自体を許さない」と9月末からデモや抗議集会を繰り返してきた。もっと大勢来てほしかった。

だが選挙をやる以上は選挙戦も重要だ。多くの人が野党支援で頑張り、立憲民主党の誕生と躍進、共闘の継続などを生み出した。民進党を与党側にさせず、選挙と議会で与党独裁に一定の歯止めをかけてきたことが、野党共闘の最大の成果だろう。

 しかし、だ。選挙は選挙。金を持ち、時期を決められる側が圧倒的に有利なことは自明だった。14年衆院選も、今回もそれが出た。本来、選挙は様々な闘い方の一つだと定め、デモ、集会、ストライキ、直接行動などと平行に取り組み続けることが普通だった。だが15年以降、それらが選挙運動の「ため」に「従属」し、市民の怒りや勢いを失ったことが今回の一因ではないのか。


失われた、創るべきもの①:街頭行動の勢いと参加者の主体性

 これは特に東京がそう。安倍が最も追い詰められたのは15年夏の反安保国会前だ。全世代が国会前の路上を占拠し、権力者が一番恐れる直接行動を爆発させたからだ。今でも12年官邸前や15年国会前を路上開放した写真が使われ続けるのは、私たちにも世の中にも一番インパクトがあるからだ。

 だが「選挙に行こうよ」「野党共闘」の結果、国会前集会などはまず野党の党首が発言し、市民発言は無しか最後の方。参加者は「偉い」議員に拍手する駒となり、15年のように「自分が主役」の意識は薄れた。警察の規制線を超えても法案を阻止するという行動も減った。

また議員は大まかな発言しかしないので、市民運動の具体的な発言が減り、運動初参加者が様々な課題を学べる場ではなくなった。この2点から、安倍政権は15年のような民衆の力を恐れることなく、野党さえ潰せばいいと思ったのだろう。

なぜ去年の韓国を見ないのか。真冬も欠かさず半年間毎週土曜に合計3千万人も街頭に集まり続けて、ようやく大統領を倒して監獄にぶちこんだ。そういうものだ。だから私たちも梅田中心部に集まり続けた。なぜ同じことをしないのか。沖縄や世界中のたたかいのように。運動全体の高齢化、硬直化だが、それを乗り越えて、取り戻すのは私たちの「直接行動」だ。


失われた、創るべきもの②:「左翼」の主張と政策。

 今、世界は米国サンダース、英国コービン、仏メランションなど、「左派」自称と「新社会主義」と呼べる政策が議会野党の中心を占めてきている(シリザ、ポデモスも前例)。議会外なら余計に若者の運動も左傾化している。米国は反トランプで、先住民、黒人、セクシャルマイノリティの運動がパレスチナとも幅広くつながって高揚している。

資本主義と国家主義が限界に来て、世界中が真の危機にある。そこで「アラブの春」からオキュパイNYへの街頭抗議が議会政治と結びついたからだ。「資本主義と戦争はもう終わりだ!」と

 ところが日本も反原発反戦争法が高揚したが、なぜか誰もが「左翼」「左派」と名乗ったり呼ばれることを恐れている。「リベラル」「中道」と言いたがっている。これはいかにも日本的な、「みんなから浮きたくない」という村社会の恐れの表れだ。極めて特殊な状況だとまず自覚したい。

 そして野党共闘は、民進党をつなぎとめることがメインなので、民進が同意しない政策は棚上げや、優先順位を下げることに。代表例が沖縄辺野古の新基地建設の反対だ。沖縄で闘う仲間はそれでいいのかと問うていた。

また共産党議席を増やすごとに、「一般国民」の支持を増やすため、天皇制、自衛隊日米安保を次々と認めていった。「ブラック企業撲滅」「時給1500円」要求に留まり(それ自体は大事なことだが)、資本主義経済を根本から問うことは少なかった。さらに今回立憲に合わせて候補者も次々降ろした。その結果が議席の激減だ。

 これらの結果、「左」の主張や政策も大きく後退した。最大の問題は、差し迫る米日の朝鮮攻撃に絶対反対ができるのかだ。朝鮮への経済制裁や非難決議は、国会が全会一致で賛成し続けている。

「日本も攻撃される」と煽られた時、自衛隊や安保を肯定する野党は、徹底反対ができないだろう。従軍慰安婦などの戦争責任を取らず、侵略戦争を昔も今もしている日本は、「実際は自分たちが侵略攻撃をする」という認識から出発することが「左」の条件だ。そして世界の左翼と同じく反資本主義を掲げよう。

 それが具体的な改憲反対だ。市民が野党を左に引っ張り、共産や社民が立憲民主を左に引っ張る形でしか、これはできない。今後民衆から新たな政党を作る動きが加速するだろう。僕も賛成だ。その時は、中途半端で危険なリベラルではなく、ちゃんと「左翼」「反侵略」「反資本主義」で「新しい世界をつくる」を立脚点にしよう。


失われた、創るべきもの③:「放射能汚染により、福島や首都圏で大量虐殺」へ対応すること。

 これが一番誰も言わない大問題。いつものように全国選挙がやられたが、福島、宮城、関東などは放射能汚染で大勢が死に続けている緊急事態です。汚染水、食品、廃棄物は全国に出回り、全国も汚染されている。史上最悪の核惨事が進行中。福島の棄民政策放射能戒厳令は空前の酷さだ。また関東だけで毎年約40万人、50年間で1200万人もの死者予測だ。殺されるのだ。科学者による詳細:http://www.gowest-comewest.net/higai/watanabe20170326.html

 総選挙で全く話題にならないのが異常事態だし、「希望」の無内容な「原発ゼロ」を許した。小池劇場は、東京五輪と同じく「首都圏の汚染=莫大な死者」という空前の問題を隠すための空騒ぎにも思える。終わりなき最悪の収束作業をどうするか、汚染の実態認識、東日本から莫大な人数を避難させること、それを持って世界から核をなくすこと。日本政府はそれら全てを放棄しており、結果今後「放置型のジェノサイド」を起こすのだ。

 あまりにも問題にされなさ過ぎている。いつまでも目をそらすのはやめよう。この大虐殺が問題にされれば、大虐殺をしている与党政権も持つはずが無いのだ。「関東からの避難者たち」はカンパを集め、避難移住支援を始めようとしている。しかし東日本から皆が避難の動きを始めなければ、汚染を話題にし始めなければ届かない。また僕ら避難当事者が必死に支援体制を作るだけでなく、全国の住民が事態を理解し、政府にやらせなければ動かない。その両方を強く求む。

 選挙結果を受けて、被曝という根本問題を話題にしない場所では、有効な運動もできないのだと、活動家の仲間たちに今こそ思ってほしい。さあ動こう、未来を変えよう。