放射能被ばくで大腸がんの松平耕一さん死去。17、18日夜に東電前で追悼・抗議集会を開催。参加を。そして皆さんへ被ばく被害の声を上げ、避難準備を始めることの呼びかけ

雑誌『新文学』を主宰し、国会前抗議、反ヘイトスピーチ、『福島原発事故による健康被害者の会』、弾圧の救援会など様々な運動に参加していた東京都府中市の松平耕一さんが、39歳の若さで亡くなりました。心から冥福を祈るとともに、悔しさがたくさんあります。

15年末に末期大腸がんが発覚したからでした。彼は「この若さで末期がんになるのは、原発事故の放射能が大きな一因だ。国と東電を許さない。」と書き続けていました。

大阪から、14日の通夜と15日の告別式に行きました。数名の知人とともに友人挨拶を依頼され、「新文学」での活躍、運動の中で出会いや協力、そして彼が訴え続けた被曝・原発との関連を、号泣しながら話しました。翌日は気持ちを整理し、東電に責任があると言いました。

通夜で他の方も被ばくとの関係を話しました。司会職員は反原発運動を頑張ってきたと話し、ご家族はモーツァルトの『怒り』を流しました。最後は何も食べれなくなったため遺体のお顔が痩せてました。遺体を焼いた後に、若さゆえ骨が多く、骨壺に溢れました。親戚には『彼の分まで生きてね』と言われました。

だからこそ。松平さんを追悼・抗議し、友人知人有志で東電本店前で集まりを行います。皆様も様々な現場で彼と同居していたと思います。また、東北・関東の全ての放射能被害、国の避難者切り捨て、東電の事故責任などもあわせて訴えます。ぜひご参加下さい。以下の私の呼びかけに賛同しない方も、この場には来て下さい。

『松平耕一さんを追悼し、東京電力に抗議する集会』

8月17日(木)、18日(金)
19時〜東京電力本店前(JR新橋駅SL広場から右へ徒歩5分)
※キャンドルやプラカードなどをお持ち下さい
呼びかけ 松平さんの友人、知人有志

大阪『3.11関東からの避難者たち』定例アピールでも追悼の場を持ちます

8月26日(土)18時〜19時、大阪梅田HEPファイブ前
※キャンドルやプラカードなどをお持ち下さい
呼びかけ 3.11関東からの避難者たち


原発と東電の責任】

松平さんの文章:https://radiationdamage311.wordpress.com/2016/08/12/

放射能がどのように影響したかの具体的なインタビューより:http://jimmin.com/2017/07/17/post-3692/

1:関東全体も被ばく地帯で。内部被ばくはわずかでも病気になりうる。

2:事情で自宅に帰れず、ほぼ毎日、福島県産食品を無制限に使う『吉野屋』や『サイゼリヤ』で外食し続けたから。

3:事故食後から東京東部の野外で仕事し続けた。その後数年続けた仕事は、東電の多重下請け派遣で、福島から郵送された賠償書類をコピーし続ける作業だった。けていたのように舞う放射能を吸い続けていた。しかも東電と派遣会社には、何の仕事をしているかを言うなと口止めまでされていた。原発労働者と同じ、被曝隠しだろう。

多重派遣の許されざる実体は、以下。https://www.google.co.jp/amp/gamp.ameblo.jp/inoushi71/entry-12122069265.html

https://www.google.co.jp/amp/s/anond.hatelabo.jp/touch/20140728201354%3fmode=amp


主催者自身の追悼と思い:https://t.co/SHGwW0ssx5?amp=1

【ありうる疑問に答えます。参加をお願いします。そして今後の東日本での活動・生き方を一緒に考えて下さい】



Q:追悼と東電抗議は無関係では? やりすぎでは?

A:本人が病気の原発と東電の責任を言い続けました。事故後に例のない、貴重な声です。そのたたかいを受け止めるのが友人・仲間の役割であり、追悼だと考えます。新たな犠牲者を出さないために、思いとたたかいを引き継ぎましょう。日雇い労働者の街である東京・山谷で、80年代なかばの年末に2名の仲間が手配師関係の右翼ヤクザに殺されました。それを追悼・抗議して、毎年の年明けに集会とデモが行われ、全国から人が集まります。それと同じです。

Q: 被曝ががんの原因だと言い切れないのでは?
A:広島の原爆やチェルノブイリ事故では各種のがんが激増しました。福島県では、通常100万人に1〜2人しか出ない18歳以下の小児甲状腺がんが、190人に激増しています。若者ほど影響が出ます。小林麻央さんを含め、30代での末期がんが事故前まで周囲に複数いたでしょうか。そもそも病気は様々な要因の複合で起こります。全ての東日本在住者は内部被曝をしており、病気要因の一つに被曝があります。自然界に無い猛毒の核物質が体に入ると、大病は促進されます。それだけで「被曝被害だ」と公言すべきであり、事実です。そしてそれは国と東電の責任であり、国と東電に「殺されること」です。

内部被曝研」渡辺悦司さんのコメント:http://d.hatena.ne.jp/Ryota1981/20170809/1502204987 
「きっと皆さまは、今回のような場合に、「周辺で多発しているかに見えるがんは、福島第1原発による放射能がもたらした被ばくが原因とは断定できない」などという、残酷なコメントに直面されておられると思います。しかし、現在のがん科学(腫瘍学)、がん生物学、がん分子生物学の最新の発展は、このような「不可知論」「分からない論」「確認できない論」に、大きな疑問符を投げかけています。
現在のがん科学の教科書は、がんの発症が、偶然に、放射線により遺伝子変異が起こるというのが原因ではなく、何十個から何万個もの遺伝子変異の多段階での「蓄積」こそ、がんを生じる原因であることを、最近可能になった全遺伝子の解析によって、明らかにしています。
大腸がんについても同じです(私の東京たんぽぽ舎での講演のスライドより)。https://drive.google.com/file/d/0B_BelY_HvnqVN3lqQWJacDQ2ckE/view

松平さんの場合には、(1)本来、大腸がんでは40〜60年かかる前がん病変の進展が、放射線被曝の影響により、ゲノム変異の蓄積が加速したか、(2)それとも、放射線により(おそらくは微粒子による内部被曝により)より、決定的に重要ながん抑制遺伝子(遺伝子変異の修復や異常な細胞のアポトーシス[細胞死]を制御している)が、最初から変異させられたことによる「デノボがん」であったか、のいずれかでしょう。どちらの場合も、福島事故由来の放射線によって変異蓄積の「最後の引き金が引かれた」か、放射線により「新たながんが生じた」かのいずれかでしょう。」


Q:東京の人が「被曝で病気」と言い張るのは無理があるのでは?

A:東電福島原発事故は「史上最悪」の核事故、今も日本は「原子力緊急事態宣言」中です。この空前の事態の意味とは、放射能被害が福島の県境では全く止まらないということです。国が避難区域をとても狭く円状に設定したため、「関東や福島以外の東北は当事者ではない」という意識が多くの人にすり込まれました。しかし、関東でも病気や突然死が増えている実感は多数聞きます。福島・関東の病院の発表データでも11年以降にがんなどがはっきり増えています。そして主要地点の空間放射線量だけでも、関東に現在の4500万人が今後も住み続けるとすると、何と毎年約40万人、50年間で約1200万人もの死者が予測されるのです。詳細:http://www.gowest-comewest.net/higai/watanabe20170326.html

私は、家族や仲間のみなさんに死んでほしくありません!

もちろん、より多くの死者や病者は福島から出ています。しかし福島県庁やメディアが完全に安全派と化し、県民は分断され、健康被害はないことにされています。その上で国は公的避難者と避難区域を2020年前後にゼロにすることを目指し、それを持って復興庁は解散です。こんな究極の棄民政策を変えるには、松平さんのように首都圏からも大勢が声を上げ、上がった声を拡大し、隠せなくさせるしかありません。関東からの被害告発と避難の波を、福島へ広げましょう。


Q:でも、周りで全然被害を聞かないよ?

A:自分も周りも言えなくさせられています。国が放射能安全キャンペーンと福島帰還政策を猛烈に進めたからです。私たち自身も、推進派が原爆や原発の被害者に常にぶつけてきた「因果関係が証明できない」という口封じを、次第に内面化したと言えます。この社会では病気は個人のプライバシーとされ、「病者」は実際に家や病院から出られなくなります。言えない・見えない・わからない状態です。昨年東京で40代で末期がんになった運動圏のとある方は、誰にも言えずに実家に帰り、亡くなったことが後からわかりました。松平さんも「放射能のせいだ」とネットに書き続けましたが、反原発運動が取り上げることはありませんでした。とても残酷な状況です。3.11後に大勢が原発反対で立ち上がったのは、放射能が危険だからでした。しかし東日本に多くの住民が残される中で、放射能の危険はタブー化しました。自他の命を守るために、タブーを破る必要があります。



Q:危険は薄々感じているが、日常の忙しさに流される…。

A:私もそうでした。水・空気・大地・海の全てが汚染されていると思いながら生活することは本当に身が持ちません。感覚をマヒさせ、「大丈夫だろう、今日と同じ明日は来るだろう」と思ってしまう。「正常性バイアス」と呼ばれる防衛意識です。しかし原発事故は続き、放射能は「脳出血や心臓麻痺での突然死」「発覚時には末期がん」を激増させています。取り返しがつきません。被害事例を見つめることで、事故直後の危機感を取り戻しましょう。



Q:じゃあ、どうすればいい?

A:放射能からは距離を取るしかありません。西日本・北海道・海外などへの避難移住です。時間がかかります。被害や避難を公言し、準備を始めて支援を求め、国・東電にも避難費用と政策を要求することです。私たち関西の「3.11関東からの避難者たち」も、全国の避難者や保養運動も、避難を強力に支援しています。『原爆ブラブラ病』が有名なように、被曝は体力、気力、知力を全て奪います。動けるうちに動くのです。



Q:仕事や家が無い!親の介護で動けない!

A:首都圏以外は家賃が大きく下がります。仕事は探せば必ずあります。低所得でも助け合えるよう、避難移住者は近い地域に住み合えばいい。子育て、介護を助け合い、仕事もシェアするのです。避難者が声を上げ、今年から大阪市営住宅に誰でも入れるようにしました。http://jimmin.com/2017/06/02/post-3076/

つまりすでに避難した人たちの近くに来たり、理想は地域や運動体や学校・職場ごとに声を掛け合って集団移住することです。集団移住は外から見えやすくなり、避難者の無視や切り捨てを防ぐ力になります。進学、就職、仕事の終了や雇い止め、友人や恋人からの誘いが避難のタイミングです。動きましょう。

関西版の『移住マップ』を作りました。仕事、住宅、スポット、人間関係がわかります。関西ならこれをぜひ使ってまずは下見に来て下さい。
http://www.gowest-comewest.net/map/
移住支援希望の連絡を下さい。
gowest.comewest@gmail.com
全国移住支援情報。『脱被ばく実現ネット』の取りまとめ。https://fukusima-sokai.blogspot.jp/p/blog-page_12.html

Q:すでに心身の調子が悪く、移動するのは大変だ。

A:これも多くの話を聞きます。被ばくの影響もあると思います。大病になって病院にかかると、病院を変えることが困難になるため、避難移住はますますできなくなります。つまり汚染地帯での治療はなかなか回復せず、むしろ悪くなりえます。大病になる前に避難移住し、治療した方が良いです。知人を頼って避難移住し、一緒に役所の窓口に行き(冷たい対応をさせないために)、生活保護を取りましょう。家賃も医療費も無料になり、治療に専念できます。大病の疑いの場合はより生保が取りやすくなります。生保は憲法で保証された権利です。みんなで権利を行使し、当たり前にする。心身が回復し、働きたければ働く。そうすれば避難先の方が今より必ず健やかに過ごせます。



Q:福島にも関東にもみんな残っている。自分だけ被害や避難は言えない。

A:いま必要なのは未来予測です。共倒れか、共に生き延びるか。子どもの未来が奪われています。福島に父親を残した母子避難者も多く、体調面や経済面が深刻化しています。避難者が増え、避難が当たり前になるほど、国や自治体は避難先の住宅作りや仕事作りに動かざるをえなくなり、多くの命が救われます。全国の原発再稼動も止める力にもなります。自分も避難、みんなも避難、つまり集団避難です。国は首都圏に労働力を縛り付けるために福島からも避難をさせず、オリンピックまで開催する。残り続けることで、他の人々も避難できなくなる。「避難はエゴ」は倒錯です。避難は後に続く全ての人の命を守ることです。原発収束作業は事故の責任者からやるべきです。



Q:日本中どこでも同じだよ

A:違います。宮城〜福島〜関東はさえぎる山が無いため、原発からの放射能が日々直接降り積もり、「土壌汚染」が深刻です。東京湾仙台湾の汚染も最悪です。風の流れで他の地域にも拡散していますが、山や距離があるためその量が違います。ヤケクソになってはいけません。また安倍政権や政治の酷さは同じですが、空前の311被害を隠している事が酷さの根っこです。隠しきれない空前の暴力を無理やり隠しているのが、今の権力者の最大の弱点です。避難はそれを暴く、人生を賭けた最大最善の方法です。そうした『直接行動』を取る人が増えれば、沖縄の闘いのように根っこを暴き出し、変える事ができるのです。



Q:首都圏の社会運動での役割があるし、人間関係もあるから避難はできない。

A:私自身もこれが最大のネックでした。国家と闘っており、主要施設は全て東京にあります。関わる団体もあります。しかしみんなが体調悪化や死亡したら元も子もありません。また、根本的問題を放置して運動をし続けるのは、どこかに嘘を抱え、展望を持たずにやることではないでしょうか。勝つためには生き残り、若い世代に引き継いでいき、彼らを被曝させてはならない。私たちは被曝により余命が削られ、タイムリミットが出来ました。人生を逆算し、避難時期を決め、それまでにやることを決めましょう。組織ごと、グループごと移動し、避難先で避難者として国とたたかいましょう。カネと嘘で私たちを支配する首都圏の権力をストライキし、解体しましょう。それは最も強力で必要なことです。


Q:もう年だし、慣れた場所で最後まで生き抜くよ。

A:それを他者が止めることはできません。個々の考えは大事にしたい。しかし、日本の社会も、社会運動も、圧倒的に高齢者が多く、また年功序列です。年配者の意向や行動や人数が、下の世代にモロに影響します。高齢者も多く残る事で、全体として避難できなくなっている現状があるのです。少なくとも若者、子ども、妊婦には逃げろと促して下さい。首都圏の運動に縛りつけてはいけないし、縛られてもいけない。

さらに、被曝は体力の弱い人から直撃するため、これまでは年配者から次々死んでいったと思います。福島県の死亡者は増えています。80代で亡くなるはずの人が60代で死に、『ちょっと早いけど、まぁ年だしね…』とうやむやにされながら。年寄りは仕方ないという事は絶対に無いし、悲しみと介護の縛りを周りにも与えます。『自分が死ぬまでに何をやり抜くか』から、『子どもや若い世代のために、一緒に生き抜こう』へと発想を変えて下さい。

国の支援が無い中で、いきなり避難は難しい。首都圏の運動も必要だ。ならば、まずは首都圏で唯一と言える、反被ばくの定例大衆行動『脱被ばく実現ネット』に参加して下さい。空前の大量虐殺という、巨大なタブーを破る貴重な行動。なのに参加者がいつも本当に少ない。タブーだからです。みなさん様々な課題で忙しいと思いますが、ここに月一度でも集まって下さい。そこで被曝や避難を話し合う事からだと思います。多くのご参加を!

★『脱被ばく実現ネット』の毎月の官邸前抗議。僕も参加します。

8月19日(土)18時半〜19時半、首相官邸

毎月第四土曜日の新宿アピール
8月26日18時〜新宿アルタ前広場
(大阪梅田へップ前と同時行動)

詳細 https://fukusima-sokai.blogspot.jp/

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——私は東京で生まれ育ち、2015年夏に心臓の不整脈で倒れました。艱難辛苦と激しい葛藤の末に16年末に大阪へ避難しました。ここで書いたことは避難前から考えてきて、避難後の体験で確信したことです。「仲間がいれば絶対に何とかなる」。「国に無駄に殺されることだけは避けよう」です。必要なのは「このままでは死ぬ」という「恐怖」、「国と東電に殺されてたまるか」という「怒り」、「避難した方がよりよく生きられる」という「希望」です。恐怖・怒り・希望を一緒に取り戻しましょう。まずは今週、東京でお会いしましょう。