これ以上犠牲者を増やすな!弾圧被害者からの「特定秘密保護法案」反対声明

これ以上犠牲者を増やすな!弾圧被害者からの「特定秘密保護法案」反対声明

★人の意志や連帯そのものを弾圧する悪法を許さない


安倍政権が「特定秘密保護法案」をとてつもない速さで進めている。11月21日前後の衆議院通過を目指しているようだ。国家情報を調べて公表しようとした人が、何が「秘密」なのかもわからないまま最高10年の懲役刑及び1000万円の罰金刑に処されるものだ。「日本版NSC法案」等と合わせて戦争する国家を完成させ、反対する人間を次々不当逮捕できるようにするためだ。私は社会運動で弾圧され、長期勾留と有罪にされた被害者として、弾圧を激増させるこの法案を絶対に許さない。

声を上げた人間への弾圧は戦後も常に続いてきた。3.11原発事故以降は多くの人が国家権力への怒りを持ち、デモに参加した。だが権力者は3.11原発事故の責任を逃れ被害を隠蔽したいため、2011年の東京の『原発やめろデモ!!!!!』では5回のデモ中に計19人もの仲間たちが警察に不当逮捕された。デモ隊をわざと過剰警備し、参加者が警察と少し体が触れただけで「公務執行妨害罪」を乱発した。翌12年もあの熱く燃えた大飯原発再稼働反対の現地テントを立てた人を不当逮捕→起訴→半年も勾留→有罪にさせた。さらに大阪で関西電力や震災汚染ガレキの拡散に抗議した人々を計10人も逮捕し、5人も起訴した。「関西大弾圧」と呼ばれている。


この上で13年に秘密法を出すという事は、声を上げた者を弾圧する段階から、声を上げる意欲そのものを萎縮させ消滅させる段階に踏み込んできたとしか思えない。弾圧リスクを格段に高めるとともに、何を知ったら法律違反かわからないのであらゆる人が疑心暗鬼に陥り、社会運動に不可欠な他者への信頼や連帯感を削がれてしまうからだ。運動に不可欠なツイッターフェイスブックなどインターネットでの情報交換や拡散も規制され、権力とは違う行動や志向に触れる機会そのものが奪われるだろう。その先の来年の通常国会では雑談や会議をしただけで弾圧できる「共謀罪」の上程が狙われている。これが麻生太郎の「ナチスを見習って静かに改憲したい」ということだ。


★秘密法により監獄や暗黒裁判の被害者も激増する


私も08年の「麻生邸リアリティツアー」、11年の「差別・排外主義にNO!9.23新宿デモ」で不当逮捕された。昨年2月に東京都江東区の野宿者排除に抗議した「2.9竪川弾圧」では、「大声を上げた」だけで「威力業務妨害」で起訴されてしまった。まさにあらゆる抗議行動の封殺だ。そして4ヶ月以上も勾留され、懲役1年・執行猶予3年の有罪判決にされた。


この国で弾圧された人はどうなるのか。世界中から批判される代用監獄制度のもとで、24時間警察の留置場の監視下に置かれたまま取り調べを強制される。確実に「接見禁止」をつけられ、弁護士以外と会えなくなる。現行犯逮捕でも自宅に家宅捜索に来られ、家を荒らされ、大事な物を奪われる。何よりも最低3日、最大23日間は監禁されるため、仕事を失いかねないのだ。この警察の完璧な包囲網により、本人も家族や友人も多大なダメージを受けてしまう。どんなでっち上げでも一度捕らえれば本人や周囲が二度と運動する気が無くなるまで痛めつけるのがこの国の公安警察なのだ。


 もし起訴されれば何ヶ月も監禁され続け、長く厳しい裁判を強いられる。私はこれを目的に公安検事から無理やり起訴された。長期勾留を仲間や弁護士とともに耐え抜き、裁判闘争を懸命にやっても、東京地裁・大野勝則は野宿者の生きる権利や行政側の問題に全く触れない「最初に有罪ありき」の判決を下してきた。高裁に控訴すると、今度は八木正一が被告の私達3名を法廷から強制排除した上で、証人・証拠を全て却下して一発終了させてきた。社会運動の弾圧事件では、警察・検察・裁判所が一体化してしまっている。


 秘密法は、こうした無実の逮捕や微罪逮捕を確実に激増させ、勾留の長期化と重罰化を加速させる。戦前日本が検察も裁判所も軍国主義国家の下請け機関と化したように、戦争に反対する人間は正に自動的に有罪にされていく。そして警察の捜査や裁判に関することが「秘密」指定されれば、逮捕された人がどこにどんな状態でいるのかが分からなくなる事がありえる。それが行き着くと、過去の軍事独裁政権や現在の米軍グアンタナモアブグレイブ刑務所のように突然「行方不明」にさせられる、誰にも知られないから監獄で拷問をし放題、というのが最も恐ろしい事ではないか。「軍法会議を設置し、兵役拒否した者は死刑」と発言した石破茂が政権与党の幹事長なのだから。日本政府は監獄を秘密指定してはいけないと定めた「ツワネ原則」も無視している。


★弾圧の裁判、秘密法反対大集会、ともにご参加を!


今後、原発事故の放射能被害と被災者の棄民化は果てしなく広がる。来年春の消費税増税後は再び大不況になってしまうだろう。政権は中国を始めとしたアジアと世界中に自衛隊を出して資源の略奪と戦争を始めるつもりだ。その分命をかけて真実を暴く、声を上げ反対する人はより増えていくし、増やさなければならない。その時秘密法が猛威を振るい、警察が誰でも弾圧していく事を私達は今から絶対に止めなければならない。


弾圧を加速させる秘密法を許してはいけない。そして弾圧後のあらゆる人権侵害も許してはいけない。これらを一体と考えて反対する事を皆さんに呼びかけたい。私は「2.9竪川弾圧」の次回デモと裁判が以下に予定されている。ぜひ、秘密法に反対する全ての方のご参加をお願いします!


■11月19日12時日比谷公園霞門集合でデモ、14時から高裁前アピール→高裁429号法廷で裁判
詳細:
http://solfeb9.wordpress.com/2013/11/05/%E3%80%901119%E3%80%91%E6%9A%97%E9%BB%92%E8%A3%81%E5%88%A4%E3%81%AF%E8%A8%B1%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%81%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%AB%98%E8%A3%81%E3%81%AF%E5%88%A4%E6%B1%BA%E6%97%A5/
■そして以下の大集会に私も全力で参加したい。ぜひ関東中からの結集をお願いします!
「STOP!『秘密保護法』11.21大集会 『何が秘密?それは秘密』それはイヤだ!」
11月21日18時半開会、17時半デモ出発。詳細:http://www.himituho.com/


2013年11月15日
「2.9竪川弾圧」当事者:園良太



(以下、「2.9竪川弾圧」園良太の一審最終弁論より引用。全文はhttp://solfeb9.wordpress.com/2013/03/01/644/

「被告人は危険人物だ」「職員は嘘をつく訳がない」「起訴の内容は検察が決めるから口を出すな」という3段論法だけで裁判が成立すればもはや法など無関係になる。行政・警察・検察が「この人物は暴れる」と決めつけてマークし、でっち上げ逮捕し、検察が裁判官に「この人物は暴れる人間だから外に出さない方がいい」と演出すれば、まさしく誰でも逮捕と長期勾留ができるからだ。これは戦前の治安維持法の「予防拘禁」の復活である。「嘘」で塗り固めた末の予防拘禁など絶対に許されない。それは公安警察・検察が、日本はどれほど不当逮捕・起訴でも一度捕まえれば長期勾留や完全隔離をやりたい放題になり、本人と周囲に多大なダメージを与えられる事を熟知しているからだ。私は連中を絶対に許さないし、裁判官は実態を知るべきである。 

私は最初に勾留された原宿警察署に着いたらいきなり強制的に全裸にさせられたので、抗議してツバを吐いただけで「保護房」に入れられた。布団と枕が与えられず一日中蛍光灯に照らされ寝られない、歯磨き・入浴・読書・執筆を一切禁じられる、時計も人の気配も無いので社会感覚を壊される、食事は手掴みで食べさせられるという酷い虐待を受けた。そして現行犯逮捕で証拠は現場にしかなく、住所も判明しているにも関わらず「証拠隠滅と逃亡の恐れ」を理由に勾留延長と接見禁止を検察が要求し、裁判所が認め、23日間も外の家族や仲間に会えなくなった。さらに起訴されると拘置所に移され、勾留は果てしなく続く。私はさらに3ヶ月半追加された。予定していた仕事も活動も生活も全てできなくなった。東京拘置所に移された長期間、私は独房・接見禁止に大変苦しんだ。留置所と違い土日は面会すら出来ず、苦しみ悩みも一人で抱えて煩悶しなければいけない。仕事と生活は当然破壊され、拘禁症状は全身を覆い、釈放後もしばらく回復しなかった。4ヶ月半も誰とも話せず、全く移動せず、作業もできないのだから当然である。

外で支援に奔走してくれた家族と仲間も大きなダメージを与えられる。親しい者を国家権力に奪われた非日常の凄まじい緊張感を想像せよ。「逮捕されれば犯罪者」の視線が強い日本社会は尚更だ。面会時の東京拘置所の圧迫感、僅か15分しかない面会時間での意思疎通の難しさも計り知れない。6月14日の保釈の際も、200万円もの保釈金を払わされたのだ。懲役1年求刑とは「本人も周囲もあと8ヶ月こうした地獄の経験をせよ」ということで、目眩がするほど「荒唐無稽」である。それは江東区役所の職員、弾圧を企図した警察、検事木下雅博と後を継いだ検事に当てはまることだ。
弾圧は釈放後も続く。竪川公園への出入りを禁じられ、仲間と引き剥がされる保釈条件がつけられ、証拠調べが終わった今も延々続いている。裁判の話を現地で共有することも、現地の支援に自分が入ることもできず、盛り上げを激しく妨害されている。始まった裁判でも被告人や傍聴人をまるで犯罪者扱いする警備法廷が採用され、保釈後も着用Tシャツの文字を理由に私は裁判所から排除されそうになる異常事態が続いている。運動つぶしの起訴の影響はどこまでも続くのである。