【転載】安倍政権は何を狙っているのか?【改憲・戦争・沖縄・歴史認識】

知人の「へのこNEWS」編集部・井上澄夫さんが、「へのこNEWS」に書いた見解がとても参考になったので転載します。今わたしたちはこういう場所に立っている、一緒に学び、話し合い、行動し変えていきましょう!

【へのこNEWS】 8・16


●8・16付2県紙社説が8・15全国戦没者追悼式の安倍首相式辞を批判しています。ご一読を。


●小野寺防衛相はオスプレイ普天間追加配備について「運用は地元の生活への最大限の配慮が前提になる」とのべました。これほど白々しい言説は珍しいでしょう。


●バイデン米副大統領が秋に来日します。共同は「安倍首相とバイデン氏は7月下旬にシンガポールで会談したばかり。会談を重ねることで、強固な同盟関係を内外に示す狙いがある」と伝えていますが、これは安倍政権側のタテマエでしょう。
 安倍の歴史認識や、「尖閣」をめぐる中国への高圧的・挑発的な姿勢を、米側は強く警戒しています。バイデンは日米同盟が揺らぎ始めていることに警告を発するため来日するのではないでしょうか。


西表島で15日、戦争マラリア犠牲者の追悼式が挙行されました。
 ところが他方で同日、石垣出身の特攻隊隊長と隊員の顕彰碑の除幕式と慰霊祭が行なわれました。慰霊祭でのゴリゴリの改憲派右翼・中山義隆市長のあいさつはこうです。
 〈現代は若者のわがままの状況を目の当たりすることが多々ある。自己犠牲をいとわず、国を守る強い思いを持った戦時中の若い人たちの精神性に学ぶべきことは多い。自己犠牲や利他の心を取り戻したとき、わが国は再び世界に誇れる精神性の高い国になる。〉
 わがままな若者よ、特攻隊の精神に学べということでしょう。


●安倍が2014年度防衛費を今年度に続いて増額します。「明治」期の帝国政府はひたすら富国強兵の道を突進しました。安倍が今やろうとしていることは「第二の富国強兵」です。


●8・15付時事記事「集団自衛権、包括的に容認=首相補佐官が見通し」にご注目を。重要なので全文引用します(取り扱い、ご注意)。
 〈礒崎陽輔首相補佐官は、集団的自衛権行使を可能にするため政府が検討している憲法解釈変更について、特定のケースに限定せず、包括的に行使を認めるものになるとの見通しを示した。15日までに自身のフェイスブックに投稿した。
 礒崎氏は、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が第1次安倍内閣で検討した「公海での米艦防護」などの4類型に触れ、「議論の糸口であって、特定の場合に限って認める趣旨ではない」と説明。「集団的自衛権はあるかないかしかない」と強調した。
 ただ、集団的自衛権の行使は、憲法解釈を変更した場合でも「必要最小限度の範囲内」でしか許されず、「具体的に何ができるかは自衛隊法などに明確に規定する必要があり、何でもできるようになるわけではない」とも付け加えた。 
 また、礒崎氏は自身のホームページで、集団的自衛権行使に道を開くなら憲法改正によるべきだとの批判に対し、行使が憲法上許されないとしたのは「内閣法制局の判断だ」と指摘、「蛇口を閉めたのが政府解釈なら、蛇口を開けるのも政府解釈でいい」と反論した。〉
集団的自衛権を包括的に行使するのは現政権の既定方針とぶち挙げたわけで、露骨な解釈改憲宣言です。


●安倍政権の3閣僚8・15靖国参拝と全国戦没者追悼式での安倍首相のあいさつは、中国や韓国の不信と怒りの火に大量の油を注ぐことになりました。そのうえ、安倍は靖国の秋季例大祭時の参拝を否定しません。
 安倍の掲げる「戦後レジームからの脱却」はこれまで戦後日本社会で共有されてきた歴史観と価値観とを丸ごと覆そうとするものです。7・21参院選での「圧勝」を追い風に、安倍はいよいよその大事業に乗り出しました。


超党派国会議員の8・15靖国参拝は計102人で、昨年の55人からほぼ倍増しました。それが国際社会から日本の急速な右傾化の象徴と見られることは必至です。


●15日午前、安倍が記者団に語った言葉と、戦没者追悼式での式辞の全文はぜひ熟読してください。彼の追悼の対象はあくまで日本人の戦没者であり、しかもアジア・太平洋諸国・地域への加害とその責任に触れるどころか、式辞では厚顔無恥にもこううそぶきました。
 〈今日よりも明日、世界をより良い場に変えるため、戦後間もない頃から、各国・各地域に、支援の手を差し伸べてまいりました。〉
 本NEWS編集スタッフの一人が「あきれはてて言葉が出てこない」とのべましたが、同感です。これは余りにひどすぎます。ついでに指摘すると、式辞は安倍自身が書いたものです。


●8・15付産経掲載のルポ「真の敵は中国にあらず 国防弄ぶ「民意」を追う」は「沖縄の民意」に対するあからさまな敵意に満ちています。不快な内容ですが、「良き」反面教師としてご一読を。


●8・9付沖縄タイムスの記事「苦しまぎれの延期要請」に、5日の米軍ヘリ墜落で日本政府が岩国から普天間へのオスプレイの移動を一時延期するよう米側に要請した事情について、こういう記述があります。
 〈岩国に残る10機の移動を事故直後に予定通り進めれば「暴動」が起きてもおかしくない」(政府関係者)。〉
安倍政権と「オール沖縄」の対立状況は政府関係者が「暴動」という表現を用いるところまで先鋭化しています。
 8・13付朝日の連載記事「オキナワをたどって・8」が太田昌秀元知事の次のような言葉を伝えています。
 〈今年は沖縄にとって歴史上、最悪の年になりかねないと考えています。県民の怒りはそれほど、充満しているのです。〉

  (井上)

続けて8月17日。

【へのこNEWS】 8・17


●安倍首相が68回目の「終戦記念日」の全国戦没者追悼式の式辞でアジア諸国への加害責任を明言せず、例年の式辞にある「不戦の誓い」も文言に含めなかったことの意味をもっと鮮明にとらえる必要があるでしょう。
 安倍は第2次内閣発足後の今年4月、村山談話について「そのまま継承しているわけではない」とのべました。この発言は内外から厳しく批判され、彼は不承不承村山談話の継承を表明せざるを得なかったのですが、それは参院選を控えて「安全運転」に徹する必要があったからです。


 しかし7・21参院選自民党が「圧勝」してからは、もうその種のシバリはなくなりました。そこで一気に「戦後レジームからの脱却」をめざして「戦争できる強い国」への道を猪突し始めました。
 今年の式辞で彼は改めて公然と村山談話を「そのまま継承しているわけではない」ことを肝心要のことに触れないという形でむき出しにしました。私は事態をそのように受け止めるべきであると思います。


 彼は8・15の自分の言動が中国や韓国、そして米国から注視されていることを十分意識していました。それでいて、あえて閣僚の靖国参拝を容認し、あのように日本人戦没者だけを追悼する式辞を読み上げたのですから、これは中韓両国をはじめアジア諸国への政治的宣戦布告にほかなりません。


 暗愚の極右ナショナリストはもう躊躇することなく東アジアの平和を破壊するつもりです。
 湧き上がる憤激をこめて、8・17付琉球新報社説を冒頭近くで紹介します。