「天皇個人と人々が直接強く結びつく」という新現象を批判し、天皇制を無くすために

天皇代替わりや天皇発言に、人々が次々共感していく現象。これは何なのか、どう批判すればいいのか、新聞社で話し合いました。恐らく原則的な批判や「天皇の狙いをあばく」だけでは届かない、新しい打ち出しが必要だと。

?天皇代替わりの何が問題か

視点―4月1日新元号発表、30日退位・5/1即位と10連休。天皇が直接政治を左右する憲法違反。それを利用した政府の統治強化。あまりに露骨で大規模なので、本来天皇制を問題化し、なくす好機。
ところが報道は天皇賛美特集一色(裕仁含む)。リベラル系知識人も「天皇の気持ちをおもんばかる」競争。社会運動からは「天皇と安倍政権が対立している」と支持する幻想と願望が次々と出た。
 これは天皇が、天皇制永続へと発言を増やすことに対し、「天皇がガチガチに縛られているのがかわいそう、自由に動いていいじゃないか」という形で共感されたからだ。「天皇個人と人々が直接強く結びつく」という新現象であり、それに沿った分析・批判が必要(12/26編集会議)。
これは非常に危険。実態は天皇と安倍、アメとムチによる人民支配。

※なぜそうなるか? 
・人々の経済的・精神的な不安がどんどん強まっていることが背景にある。自己が空虚だから神(または共同体を象徴するヒト)に思い入れ、すがりたくなる。社会運動も15年戦争法案反対を最後に、大衆的で開放的な盛り上がり・展望を失っているから。
天皇宮内庁は、それを分析・利用して発言している。

→「すがりつく自分って何なの?良いの?」と問い直すことから始まる。
そして「天皇が不自由だと思うなら、天皇制自体を無くせばよい」(16年11月三鷹、代替わり発言後初のデモ初参加者)に立ち戻る。
天皇制の戦争責任にも戻っていく。

天皇賛美は、超特権階級や女性差別を認める差別の温存。10連休の被害者は低賃金労働者。
天皇の動きの賞賛は、民衆の自発的服従。ナルヒトはLGBTQ支持などもするだろう。「安倍政治が酷すぎる=天皇発言はマシだ」。この連鎖で人は自ら社会運動で現実を変えることをしなくなる。

そう、世界は私たち一人ひとりが主人公であり、私たちが変える。そこに神=天皇制はいらないのだ。(続く)

越年越冬に、10年前を思い出して――「現実的に何ができるのか」だけではなく、「自分は本当はどんな世界を望むのか」からやり直そう。

安倍独裁政権が続き、「何をしても無駄だ」という諦めと、人と人との分断が進んでいる。だけど「世の中は動く時は動く」と思い出しておきたいことがある。今のフランスだけではない。10年前の日本だ。

昨日と今日、各地の越年越冬炊き出しに参加して、何度も2008年の年末年始を思い出した。リーマンショック後の反貧困運動のピーク、日比谷公園の「年越し派遣村」だ。株が大暴落する今も、状況は実は同じ、大不況の始まりだ。

反貧困/フリーター運動が2006年後半から盛り上がり、リーマンショックで大量の派遣切りが予想された。富豪ぶりを見せびらかす首相麻生太郎には何もできない感が高まっていた。

そんな中、運動は、失業者を守るべき厚生労働省の目の前・日比谷公園に、テントを建てる計画を急速に進めた。労働組合などが山谷に学びながら、炊き出しも始めた。
08年の12月30日に派遣村は始まった。31日は最大限人々が集まった。その具体的様子はhttp://d.hatena.ne.jp/Ryota1981/20090103/1236067729
(山谷は当事者を含めた共同炊事・共同闘争だが、派遣村は当事者を支援の対象にしかしていないという批判もあった。)

そして紅白歌合戦の合間のNHKニュースで実況中継された(年末はニュースが少ないから。半ば主催者が狙った)。それでヤフーのトップニュースに出て、アクセス集中でブログがパンクしたほどに。
年明けて、寝ずに六本木のテレビ朝日へ行った。元日夜中恒例の「朝まで生テレビ」は反貧困特集。何と湯浅誠雨宮処凛首都圏青年ユニオンフリーター労組が出演した。僕は客席に参加した。客席が映された時、友人がお腹に仕込んでいた「ギリシャ暴動に続け!」という横断幕を出したから一緒に持った。全国放送でだよ。

世の中は動くときは動くのだ。

1月2日。「いつまで寒空の中外にいさせるんだ」世論の批判に耐えられなくなった政府は、ついに厚労省の1階の大講堂を開放した。野宿者・失業者・支援者数百人が、布団を持って大講堂へなだれ込み、占拠した。興奮して友人と話し合ったのをよく覚えている。
マスコミの報道 http://www.asahi.com/special/08016/TKY200901020056.html

1月4日。全ての野党が日比谷公園に集まり、座り込む群集を前に貧困対策を誓った。議員に拍手し真っ先に喋らせる今の国会前集会とは違う。「お前らちゃんとやんのかよ!」と野宿者が罵声を飛ばし、議員が「はい、やります!」と答える。本来あるべき姿ーー「大衆団交」だった。

世の中は動くときは動くのだ。

その後。派遣村は当初の予定通り1/5で撤収した。国が動きそうだし、滅茶苦茶大変でもあったから。
だが僕らはテントを残すべきだと思ったり、言った。これで「国の貧困対策」はできるかもしれないが、
・東京ど真ん中に自律的コミュニティを作ることこそが社会を根底から変える
・日比谷占拠のような直接圧力があり続けなければ、国はまた態度を変える
という思いからだ。

とにもかくにも麻生の支持率は下がり続け、8月衆院選で惨敗、民主党政権交代。反貧困運動はその原動力となったのだった。
だが次第に民主党も悪政を強め、3.11原発事故で批判が爆発。社会を根底からは変えられなかったため、自民党・安倍が再び政権につく悪夢が始まったのだった。

2019年1月1日。今も大阪、東京、全国で炊き出しとテント闘争がある。色々大変だが、やはりテントがある運動は本当に強いなと思う。社会から問題が見える。人と人が繋がれる。そこにいるんだという気迫が伝わる。辺野古もそうじゃないか。

今年は春から選挙、天皇代替わり、大阪G20改憲国会が立て続く。安倍は絶対に改憲するために、3つの計画を練っているという。

・夏の参院選衆院選との同時選挙にし、G20で「北方領土返還の成果を取った」と喧伝して勝利する。それで参院も3分の2議席を取り、秋に悠々改憲発議。
参院選の前に、天皇代替わり〜改憲国民投票までナショナリズム全開で一気にやってしまう
参院選衆院選改憲国民投票を全部同時にやる。

マジで何でもありだ。全てはつながっている。天皇代替わり、大阪G20改憲は全て戦争と資本主義のための、許されないものだ。だが今のところ、安倍と天皇は全ての狙いを押し通してきた。

それでも私たちは、これまで通りの集会・デモ・街宣だけを続けるのだろうか。終えたら無関心な人々にまみれて家路につくのか。「逮捕されたら大変だ」で考えや行動を止めてしまうのか。もういいだろう。
「現場」を作ろう。座り込もう。テントを張ろう。もっと人の多いコースでデモをしよう。場所はある。勝ち取るものだ。10年前のように。今目の前の越年越冬のように。

これはもう一つの大問題、3.11原発事故も同じ。健康被害が急増している。避難が必要だ。でも支援が無くて動けない。避難者もバラバラで生活苦だ。なら固まるんだよ。みんなで移動し、場所を空けさせるんだよ。今の西日本の公園、役所、企業。ガラガラじゃないか。
3.11直後のさいたまスーパーアリーナ新宿駅・東京駅、都庁、避難者団地のように、そこを避難希望者で埋め尽くすんだよ。生活で困り孤立する人々もそこになだれ込むんだよ。

土地は誰かのもの、まして権力者や金持ちのものでは決してない。苦しむみんなのものだ。

「○○さんを当選させよう!」だけに埋もれずに、そうした想像力をよみがえらせ、行動すること(両立させること)が、今年一番必要なことだと思います。「現実的に何ができるのか」だけではなく、「自分は本当はどんな世界を望むのか」からやり直そう(この言葉は人からの引用)。
この、厚労省講堂を埋めた1枚目の写真のように。


2018年を振り返って−安倍政権、原発避難、人民新聞と弾圧激化、疲れ

年の瀬。仕事も掃除も終わった。街が静かだ。1日家にいれたなんて何ヶ月ぶりだろう?
みなさんはどうしてますか? 今年も、本当にお世話になりました。
政治も放射能問題も最悪だが、今年は弾圧関連と、心身の疲れに追われた感じの1年だった。振り返りたい。

仕事は人民新聞。「梅田解放区」を月数回、ゴーウエストの集まりを毎月第2土曜にしていた。
1月:
人民新聞の編集長が神戸拘置所に監禁されたまま、始まった。
編集長代理的な仕事を続け、尼崎の人々を中心に「山田さんを支援する会」で救援活動を続けた。
ゴーウエストは「復興庁タスクフォース」批判、心斎橋外国語アピール、台湾への避難者のお話会など続けた。

2月:
あまりに疲れたため新聞を1度合併号にした。2/16、編集長の初公判。数時間後、ついに彼が解放された。
拘置所前で抱き合って喜んだ。翌日尼崎集会開催で150人。24日、東京集会開催で60人集まった。
ゴーウエストで東京相談会や記者会見を行なった。

3月:
10日、「原発避難者と仲間たち全員集合!大集会&デモ」を150人で行なった。追悼の時間など皆で多くのチャレンジをした。
後半、森友問題の激化に合わせて梅田解放区を増やそうとした。だが編集長弾圧後の緊張が解け、3.11の疲れも一気に
出て、マジで動けなくなった。寝込み続けた。限界。そこで2週間の休みをもらった。

4月:休みで回復。仕事や活動を再開した。石垣島宮古島辺野古の基地反対を1週間取材した。

5月:引越しをした。梅田解放区の回数が増えた。東京へ行ってまた避難集会。

6月:2日にゴーウエストで「ダキシメルオモイ」集会を開催。また1つ新しい仕事も始めた。
後半からカジノ法などを止めるために毎週のように梅田解放区。大阪北部地震で職場、家ともに一部崩壊。
26日、神戸でラッドウインプス「hinomaru」への抗議行動。事前からファンらが激しい攻撃。
当日は仲間が1人不当逮捕され、救援、翌日奪還した。こんな歌を出したら抗議されるんだぞという実績を作った。

7月:台風後、激烈な暑さで動けなくなる。まさに気候変動、災害による崩壊の極み。来年はもっと酷くなる。
それでも国会延長に合わせて梅田解放区を続け、最後は倒れ気味に。悔しかった。総括:http://d.hatena.ne.jp/Ryota1981/20180721
18日、編集長弾圧裁判に不当判決。大阪高裁へ控訴。

8月:6日にゴーウエストの広島平和公園アピール。万来の拍手を受ける。松平耕一君の話をしてる時に思わず号泣。
だが最後に仲間が不当逮捕。広島残って救援し、17日に奪還。本当に大変だった。
支援に感謝。一方、連帯労組への大弾圧も本格化する。

9月:悪天候と合わせて、また寝込み続ける。夏の疲れもあるだろう。2日に広島報告集会。

10月:天候回復に合わせてか、体調も回復。来年度のことを思考・行動し始める。
解放区を毎月2回に増やす。

11月:韓国の労働者大会へ行く。13日編集長の控訴審。28日、ガサの国賠訴訟を開始。

12月:入管法強行採決辺野古への土砂投入。最悪の独裁政治。梅田解放区を続ける。
8日、ゴーウエストの総会。11日、編集長控訴審判決で激闘。また疲れが出て眠れなくなる。
季節の変わり目に弱いのか。

体調を安定させなければいけないな。そしてフランスのようにみんなで世界を変えたいな。
政治・社会的な振り返りと展望はまた書きます。明日と1日は、釜ヶ崎の越冬集会に行きます。1日朝の連帯労組デモにも行きます。2019年は本当に勝負の年です。
みなさんに心から感謝します。良いお年を!


「戦後最悪」の2018年通常国会の終了を受けて――「専制政治」の完成とは何か、私達が何をなすべきか

総括します。それが一番必要です。みんなで全国できちんと総括して、未来を変えましょう!

「戦後最悪」の2018年通常国会の終了を受けて――「専制政治」の完成とは何か、私達が何をなすべきか

1:今国会のまとめ:安倍・1党独裁、専制政治の完成。
1−1経緯:1/22開会。当初は安倍敵無し、改憲ムード。だが
2月末の厚労省データ改ざん、3月の森友文書書き換え、南北朝鮮会談発表で政権が危機に。
厚労省改ざん→森友書き換え→「加計学園は首相案件」→防衛省日報問題→財務省セクハラ→麻生数々の暴言→大水害・死刑前夜の宴会、カジノ献金など、内閣総辞職ものの醜聞続出
4/20から野党審議拒否。だが政府「野党の無責任」と攻撃。国民民主党も審議復帰画策。連休明けに野党が審議復帰。以降、醜聞も悪法も全て押し通す。
成立した悪法:残業代ゼロ法、TPP、カジノなどの新自由主義法案。参院定数6増など。水道民営化も今後閉会中審査。原発ゼロ法案など野党立法は全て審議もせず。

1−2専制政治の手法
・自らが宗教的権威のごとく振る舞う。「この道しかない」。日本会議創価学会など宗教勢力の実際のバックアップ。その上で、
・嘘、開き直り、責任転換で人々が忘れるのを待つ。与党政治家の人格劣化と暴力化
・国会答弁―質問には答えず、持論と官僚のペーパーを延々読み上げ
・最後は衆参の圧倒的多数で押し切る=国会の死。国会閉会後に会見=安倍の大統領化
・報道の忖度と、話題そらし(相撲、日大タックル、トキオ山口、W杯)
・死刑執行、対外戦争。朝鮮・中国敵視と、オウム13人の殺害。国家権力の強大さを見せつけ、人々に溜飲を下げさせて支持を集める。(=世界的傾向。麻薬戦争と称して市民や左派を殺しまくり、支持を集めるドゥテルテ)
・あまりの酷さに、民衆も反対運動も疲れ、諦め、酷さへ慣れてしまう。暴力と差別が社会にも蔓延する。市民革命を起こしたことの無い日本の歴史=対抗の弱さ。

2:専制政治の形成過程
・世界的傾向。トランプ、プーチンマクロンエルドアン、ネタニヤフ、ドゥテルテ、習近平
→そうでなければ末期的資本主義による矛盾を押さえつけられない。加えて日本の支配層は、<3.11原発事故>  <アジアへの戦争責任> という根源的問題を隠さなければならないから。

2−1官邸独裁。
90年代、自民党派閥政治への批判――悪利用して96年に小選挙区制成立。橋本構造改革小泉政権以降、首相官邸へ権力を集中。安倍で完成。官僚の人事権、日本版NSCなど。
自民党内の派閥解体、対抗勢力のなさ、「選挙に勝てる安倍」

2−2議会制民主主義の死
・権力に執着する公明党選挙協力+第2自民党=維新の会の採決協力。希望が民進党破壊
・野党の縮小・解体―3.11が民主党政権で起きた不幸―自民党が責任転嫁。また民主党も自民と変わらなかった政策も多々。ゆえに若者は民主党失墜と自公政権しか知らない―「他に誰がいるんだよ?」反応。消極的追認による大政翼賛会。冷戦―ソ連崩壊、社会党・総評・55年体制崩壊の帰結。野党共闘は、追い詰められての選択。
・公正選挙を破壊。国政は安倍の都合で解散→準備段階で与党の勝ち。名護・沖縄・石垣市長選、新潟県知事選…野党へのデマ・誹謗中傷、争点隠し、与党への期日前集団投票を公然と(都市部富裕層と自公政権が支えあう)。何でもアリに。→今後の選挙もそうなる。

3−3恐怖政治
原発運動、沖縄などを警察が弾圧。秘密保護法、共謀罪で報道統制。右翼の攻撃。ネットでのデマ、誹謗中傷(詩織さんなど)。→ただし抵抗が小さいから弾圧もまだ大規模ではない。

→この1〜3の複合による「経験したことの無い独裁体制」を、私達はどこまで自覚してるか?

3:運動側の主体問題
・安倍政権以降、主要な大悪法は全て通されている。私達は負けてる。そこから総括する事。
総括を公表しない「次も頑張ろう」はまた負ける。選挙を待っても、公正選挙にならない。

・3.11以降の運動高揚〜だがシングルイシュー化〜15年安保法でまた高揚〜だが若者達は解散。選挙運動へ集約。左派の消滅、非暴力直接行動の消滅

・野党は現状出来ることはしている。だが野党共闘は選挙と議会の手法であり、大衆運動がもっと日頃から主導権を持つべき。→国会前抗議、梅田解放区。韓国も街頭から政権倒した。
・今国会のピーク:4/14国会前と全国行動。以降、大阪は高プロなどへの大規模集会無し。なぜ?

・どうやって「安倍を倒す」? 9月3選ならあと3年。暴政極まる。来夏の選挙で倒せる保障は無い。韓国のような弾劾制度の無い日本。だが大衆蜂起=米騒動で寺内内閣、60年安保では岸内閣を倒した(民衆が権力を取った訳ではない)。大衆的抗議の組織化が基本。

8〜9月に朝鮮戦争終結宣言、9月自民党総裁選・「安倍やめろ」3選阻止。10月〜臨時国会改憲発議阻止。19年5月天皇代替わり。4月統一地方選、夏参院選。全てを見通した運動の主体形成を。

・東アジアの歴史的変化へ、日本も戦争責任を果たすために動き、変わる。
社会主義共産主義、自然との共生―政権交代オルタナティブな社会構想を示す。
・3.11被害を全て明らかにさせる。

→各地の個別具体の運動総括へ。梅田解放区もやります。
7月22日17時半〜梅田ヘップ5前へ!

<3.11経験の喪失>を越えて―東京、大阪の連続行動へ!

「3.11」政権最大の嘘と支配から卒業をーGo West!連続東京行動へ!
5月10日12時〜ミニトーク「復興政策から避難政策へ転換を」@横浜駅
20時〜トーク&上映「相次ぐ健康被害と3.11原発事故からの避難を考える」@早稲田あかね
5月12日13時〜脱被ばくネット新宿アルタ前デモへ参加

<3.11経験の喪失>を越えて

「福島でさえ国は避難させようとしないのに、みんな避難を口にしなくなってるのに、ましてや東京だよ!? 首都だよ。簡単には行かないよ、長い目で取り組まないと。」

「3.11直後はみんな近所の放射線量を測ったり、被ばくの学習会をしてたんだよ。でも2012年末ぐらいからぐっと減った。国が除染とかの復興政策を始めて、みんな混乱させられたからね。初期の恐怖感をそれで断ち切られたの。<経験の喪失>が起き続けているんだよ。」

仲間の言葉で最近一番印象的なものだ。
意識のある人でも、関東・首都圏の被ばくを語るとき、素直に「自分たちが怖い、自分たちがヤバイ」とは言えない。常に「福島/子ども/原発労働者」といった他者の被害として語る。(もちろん、より虐げられた他者がいないか考える事自体は大事な事だ)。
避難や被ばくが無視される中では、東日本在住者だけでなく、避難者もまた孤独な喪失状態に置かれている。

<経験の喪失>−−
私たちは、着実に進行する被ばく被害を自分の問題として考え、語る言葉などを奪われている。いや、そもそもまだ一度も手にしていない。
心身をボロボロにされると同時に、そもそも自分の状況を自分で把握し、自分の人生を自分で生きることができなくなっている。そこに死の恐怖がおおいかぶさる。

これが、被ばくや避難をめぐって混乱や対立が起きる理由だ。あまりにも不幸なことだ。そして、訳もわからず被ばくで殺されていく人々が、積み重なっている。これが見えない戦争の姿だ。

3.11とは、社会科学と自然科学の両方を総動員させて対処すべき、一大問題であり(国は逆の立場からそれをやっている)、
首都圏を含む史上最大の被ばく被害と避難とは、「新しい常識」を打ち立てなければいけないことなのだ。

そこでは、私たちは一体何のために生まれ、どこへ向かって生きているのかが問い直される。
子どもを持つ親が真っ先に避難したのは、自分の人生が子ども=未来と直結したから。「もういいや」と思った時、人はその場所に留まる。少子高齢化し、「今だけ・金だけ・自分だけ」の権力者がのさばる日本では、よりその傾向が強まる。

だから私たちは、人間と自然がともに生き延びていける、「新しい常識」を打ち立てなければいけない。
見える爆弾なら避けられる。見えない爆弾は、離れなければ殺される。
私たちは、幸せに生きるために、人を殺す社会を変えるために生きているのではなかったか。思い出そう。
そして奪われた自分たちの人生を、経験を、自分たちの手に取り戻そう。

僕の故郷・東京も、本当に終わっていく。その巨大な悲劇を希望に変えるには、<これほど大きな被害を生み出すのが、世界を支配する「核」だ。米国を筆頭に無くそう、二度と悲劇を産まないために>」と明らかにさせるしか無い。それは事実であり、そうして誰もが声を上げれば、世界は変えられる。無念にも殺された人々に、少しでも報いることができる。

「逃げよ、生きよ」に私たちが込めたメッセージは、そういうことだと思うんだ。

5/10−13東京、「福島復興政策」利権と私たちの放射能汚染を考える連続行動へ

園良太@大阪です。以下、転送・転載歓迎です。

14日の国会前集会や全国行動に参加された皆さん、本当にお疲れ様でした。
国会で空前の利権政治・文書改ざん・責任逃れ・破滅的政治が続いています。

これは森友だけでなく、沖縄辺野古の新基地建設や原発政策にも共通構造であることも、多くの方が感じていると思います。その中でも、最も問題にされず、自由自在に巨大な利権政治や破滅的政策をさせてしまっているもの。それは大勢が立ち上がった「3.11」以降の根幹にある、「福島復興政策」だと思います。

私は大阪で原発避難者運動を行い続け、5月連休明けの10日から13日まで、東京で様々な場に参加・発言するため、これを問題にし、放射能健康被害や保養・避難政策への転換を皆さんと考えたいと思います。
以下、予定です。ぜひご参加をお願いします。

<行動予定>
①5月10日(木)12時〜「原発事故8年目 神奈川と福島のいま」展でミニトーク
「今の『復興』は究極の利権政治と人命軽視」
※5月5日〜10日の10時〜19時まで地元の運動が写真展や集会を開催されてます)
詳細:http://www.palsystem-kanagawa.coop/archive/20180411_1
会場:かながわ県民活動サポートセンター(横浜駅より徒歩5分)

②5月10日(木)19時半開場、20時〜23時ごろ
「相次ぐ若き仲間たちの死と放射能汚染、私たちの未来を考える」
場所:交流スペース早稲田「あかね」
http://www.geocities.jp/akane_waseda21/

③5月12日(土)13時集会、14時デモスタート@新宿アルタ前広場
「第10回新宿デモ 子どもを被ばくから守ろう! 家族も、自分も!」 に参加。
主催:脱被ばく実現ネット
詳細:https://fukusima-sokai.blogspot.jp/2018/04/blog-post_15.html

11日(金)、13日(日)は空けています。お会いできる方はぜひご連絡下さい。

<いま何が起きているのか、問題なのか>

まずこちらをぜひご覧ください。私たち関西の避難者と研究者が尽力で集めた声やデータです。
http://www.gowest-comewest.net/ (「ゴーウエスト 3.11東北・関東 放射能汚染からの避難者と仲間たち」)

上記からわかるのは、①放射能汚染と健康被害は関東・東北にも広く拡大している。
②多くの死者が出てきている。それは国の責任である。
③だが放射能被害も「復興」も、東日本では問い直すことが非常に難しくなっている(他の地域は忘れている)。
④それは、国が福島復興政策や東京五輪で被害を隠し、安全キャンペーンを国内外に拡大しているから。
⑤復興政策や東京五輪は検証も議論も一切されないため、住民や避難者のためではなく、ゼネコン・大企業の巨額利権と化している。

まず①ー②。私は3年前に心臓の不整脈で倒れ続けたため(チェルノブイリで最も多かった病気の一つ)、
悩んだ末必死の思いで大阪へ避難しました。
そしてこの半年の東京で、昨年8月、デモ・救援・文芸活動を続けていた松平耕一さんが末期大腸がんで亡くなりました。
今年3月末にはヘイトスピーチ反対運動や不登校に関する言論を発し続けた常野雄次郎さんが急速な多臓器不全で亡くなりました。ともに39歳、40歳で、私や多くの運動関係者の友人・知人でした。他にも知人関係で多くの事例があります。無念極まります。早すぎる連続死は、「史上最悪」の放射能汚染も一因にあると考えるのが自然でしょう。

放射能からは距離を取り、保養や避難・移住をすることで命は守られます。
しかし③、このことを問い直すのは今や過酷です。親しい人の死だけでも痛苦なのに加え、加害者が国で、事故が半永久的に続き、しかも避難・移住への支援が全く無いからです。現実が重すぎる。よって2012年以降、再稼働、秘密法、戦争法、共謀罪、森友…と闘いが高揚しても、
復興政策は問われずにいたと思います。

実際は最悪です。④ー⑤「福島復興政策」。福島県に毎年1兆円以上も使わていれる復興予算、計4兆円を超える除染費用は、数々の不正利用が発覚。警戒区域で起業すれば県が4分の3も費用を出すため、50億円もの架空請求でだまし取る。原発周辺を加計学園同様に「特区」にすることで、帰れる見込み
もない小さな大熊町の村役場を32億円で建設するなど巨大箱モノを連発したり、原発で散々設けた東芝などが広野町に100機もの風力発電を立てて騒音被害が激化している。詳細:https://jimmin.com/…/chasing-huge-nuclear-accident-concessi…

しかも昨春打ち切られた避難者の住宅支援は年間70億円、県復興予算の0.6%に過ぎません。
利権化だけでなく、避難をさせずに放射能で命を直接奪っているのです。 これほど「食い物」にされた政策もあるでしょうか?  大量の命を金で奪う最も酷い政策です。
そしてここまで見れば、東京五輪の最大の目的が関東・首都圏の放射能汚染を隠すことであるのは明白であり、それゆえに凄まじく利権・不正まみれの五輪であることはすでに報道されている通りです。

森友・加計で安倍利権政治が根底から問題化した今こそ、東日本全域を覆う放射能被害と復興政策も、今一度「私たちはどうするのか」をともに考え、問題化し、行動しましょう。

未来のために、ぜひ、ご参加下さい!声をかけて下さい。